全国の伝統芸能を題材に舞台を上演する伊那市の「田楽座」は大型連休中の5月4~6日、同市富県の拠点を会場とする恒例の「稽古場公演」を開く。座員、観客ともにアットホームな雰囲気の中で楽しめる年に一度の公演だが、新型コロナ下の4回は人数などを制限して開いてきた。今年は5年ぶりの通常開催となり、座員たちは「コロナ前に戻って楽しんでほしい」と多くの来場を期待しながら稽古している。
稽古場公演は1988(昭和63)年に現在の拠点が完成したのを機に始まり、今年で31回目となる。約15メートル四方の室内が会場。互いの息づかいが聞こえるほどに、演者と観客の距離が近いのが魅力だ。1時間10分の公演で、鳥を捕まえるしぐさで舞う木曽地方の「鳥さし舞」、鳥取県の民謡「貝殻節」、笛の音に合わせ激しく動きながら太鼓をたたく秋田県にかほ市の「金浦(きんぽう)神楽」などを披露する。
稽古場公演は舞台を見ながら飲食ができるが、コロナ下では制限せざるを得なかった。田楽座代表の中山洋介さん(47)は「お客さんは(座席の)間隔を空け、笑い声も出せない中で緊張しながら見ていた」と振り返り「今回は気にせずにリラックスしながら見てもらえるのでうれしい」と話す。
当日は稽古場前に市内の飲食店などが「伊那谷まーけっと」と題して出店する。田楽座が今年で創立60年となるため、赤いちゃんちゃんこで還暦を祝う風習にちなみ、赤い服や帽子を身に着けて来場した人には贈り物をする。
公演は3日間で計5回。入場料は小学生以上1800円、未就学児無料。予約制で、ネットか電話(電話0265・78・3423)で申し込む。
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