2021年に導入されたシティコネクトユニフォーム。本拠地を置く地域の文化や特色をモチーフとしており、一つひとつのデザインに注目すると、チームと地域のつながりや歴史を感じられる。第9回は「フィリーらしさ全開(Unapologetically Philly)」をテーマにした、フィリーズのユニフォームを紹介する。
第8話:ブルー×オレンジから脱し、ニューヨークらしさを表現したメッツ
「赤やファナティックの緑、あとは黒とかを想像していた。こういう色を使うなんて全く予想していなかったよ。誰も想像していなかったデザインだけど、背景のストーリーも含め、全てがうまくまとまっている」
そう話したのは、フィリーズの主砲ブライス・ハーパーだ。公式発表の1年前、フィリーズはシティコネクトユニフォームのサンプルをハーパーに見せ、チームの顔に意見を求めた。フィラデルフィアの市旗を構成する、ライトブルーとイエローをキーカラーにしたユニフォームを前に、ハーパーは冒頭のように答えた。
ユニフォームの前面に“PHILLY”と書かれるのは初めてのことで、文字の中にはフィラデルフィアの史跡「自由の鐘」のひび割れを表す繊細な柄も。ブルーカラー(労働者階級)の大都市でありながら、小さな町のような親しみやすさもある街であることを象徴したブルー襟の内側には、フィラデルフィアのスカイラインが描かれている。
袖のパッチにはフィラデルフィアの愛称「兄弟愛の街(City of Brotherly Love)」と環状に記された。フィラデルフィアの中心にある彫刻作品“LOVE”をオマージュしたロゴは、“O”の文字が自由の鐘の形に。さらに、内側にはアメリカ革命時代に一般的だった、文学の挿絵を参考にしたエッチング模様が施され、野球の縫い目もその模様に織り込まれている。フィリーズが、フィラデルフィアの街に根差していることを示す証だ。
通常のキャップのロゴは“P”の文字だが、シティコネクトでは自由の鐘とスカイラインが描かれており、両サイドの2つの星はフィリーズのロゴ(Philliesの“i”)が由来。ツバの裏側と汗止め部分には、自由の鐘からインスパイアされた装飾模様があしらわれている。これは「革命は地下で起こる」という、フィラデルフィアの歴史に深く根付いたテーマを強調しているのだ。
今季、金曜日のホームゲームで着用されたこのユニフォーム。対象日はマスコットのフィリー・ファナティックもライトブルーに袖を通し、いつもとは少し違った雰囲気を演出していた。
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