川崎F戦(8月19日)で満田誠のCKがゴール前に入った時(下記動画の1分27秒〜)、既視感に襲われた。
その正体は、昨年の広島に歓喜をもたらしたルヴァンカップ優勝ゴールだ(下記動画6分14秒〜)。
「確かに川崎F戦のゴールは、あの時と似ているね」
ピエロスも、同じ実感をもっていた。
「あの時も、そして今回も、日々のトレーニングの成果がゴールを生んでいるんだ」
ウオーミングアップから全力でやり抜くこともピエロスの魅力(8月18日撮影)
確かにそのとおりだが、相手DFの山を超えて落ちてくるCKを足で合わせるなんて、誰もができることではない。かつての名FW久保竜彦氏はルヴァンカップ優勝ゴールの映像を見た時、「(ピエロスは)いい準備と予測ができているし、ボールが見えづらくても合わせる感覚を持っている」と称賛した。
トレーニング中に何度も負傷した今季のピエロスだが、今はその不安を感じさせない(8月18日撮影)
最近4試合で2得点と結果を残しているピエロスだが、違う形でもチームに貢献している。
川崎F戦の60分(冒頭のYouTube動画5分27秒〜)、ピエロスが相手ボールホルダーにスライディングタックルを敢行。
「マルコスがプレスのスイッチを入れてくれたし、スライディングすることで何かが起こればいいと思った」(ピエロス)
彼の献身によって相手のパスはぶれ、満田誠のもとに。この直後、スタジアムを震撼させたマルコス・ジュニオールの「アメイジング・ゴール」(ピエロス)が生まれた。
攻撃のタクトを振るうマルコス・ジュニオールとストライカー=ピエロス・ソティリウ。二人の息が合えば合うほど、広島の攻撃はパワフルになる(8月18日撮影)
75分、脳震盪の疑いでピッチを去ったピエロス・ソティリウだったが、22日はいつも同様に練習。「(脳震盪ではなく)大丈夫だと確認できた」とミヒャエル・スキッベ監督は笑顔を見せた。
「起用は監督の判断だけど、自分ではフルパワーでいけると思っている」
シャイな性格のピエロスだが、移籍1年を経て今やすっかりチームに馴染んでいる(8月18日撮影)
問題はコンディションだけ。ストライカーは、自分を信じて腕を撫す。
ピエロス・ソティリウ(Pieros Sotiriou)
1993年1月31日生まれ。キプロス出身。2009年にオリンピアコス・ニコシア(キプロス1部リーグ)でプロデビューを果たし、2012年には19歳でキプロス代表デビュー。2017年、FCコペンハーゲン(デンマーク)に移籍し、3年間で70試合出場25得点を記録。2020年にはブルガリアリーグ1部のルドゴレツに移籍し、2021-22シーズンは得点王。今季は連続して筋肉系の負傷に悩まされ、5月以降は長期離脱。7月16日の横浜FC戦で復帰し、同点ゴールを記録した。川崎F戦でゴールを決めたマルコス・ジュニオールの「かめはめ波パフォーマンス」にも参加。「子供の頃、ドラゴンボールのアニメを見ていたから、わかっていたよ」と言って笑った。
【中野和也の「熱闘サンフレッチェ日誌」】