(撮影:玉村敬太)
「ミュージカルって、歌がしんどいか、芝居がしんどいか、どっちかなんですが、この舞台は両方トップクラスにしんどいと思います。ただ、それはネガティブな意味ではなくて、表現者として、見る人を巻き込むくらいの熱量を放出しなきゃいけないという覚悟ですね」
そう語るのは、話題作に引っ張りだこの中村倫也(35)。今秋挑むのは、ミュージカル『ルードヴィヒ~Beethoven The Piano~』(10月29日~11月13日、東京芸術劇場プレイハウスで上演のほか、大阪、金沢、仙台で公演)だ。
音楽家ベートーベンの生涯を描く本作で、主人公・青年期のルードヴィヒを演じる。演出を手がけるのは、舞台人としての中村の才能を開花させた河原雅彦。タッグを組むのは7年ぶり。
「河原さんとずっと何かやりたいね、という話はしていたんですけど、こういう本格的なミュージカルがやりたかったというのは、正直、意外で。でも、そこで自分を指名してくれたことはうれしかったですね。演劇は、仕事がなくて鬱屈していた若手時代に自分の生きていく支えで、その道を切り開いてくれたのが河原さんでした。その人が新しいチャレンジをするなら、楽じゃないとわかっていても、やらなきゃいかん! と(笑)」
作曲家と役者、同じ表現者として共通する部分はあるかと聞くと、「全く違う」という答えが。
「クリエーターは0から1を生み出す人ですけれど、役者は台本があり、そこから役を作り上げていく。生み出す分量が違うと思っています」
この日は、ヒゲを生やした姿で登場したが、どんな心境で?
「休みの日はヒゲを剃そらないんですよ。今日、家を出るとき、ヒゲ生かしで撮られるのも面白いかなと思って、なんとなく(笑)。ここ数日は、ゆっくり過ごしていたので、久しぶりに散歩したんです。秋は散歩したいですね。おじいちゃんみたいに、後ろに手を組んで(笑)」