「NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』の第3回は16.2%、前回からも1.5%アップで、かなり好調です。主人公・北条義時を演じる小栗旬(39)は収録現場にはマスクにメッセージを書いて現れるそうで、あるときは『全部、大泉のせい』と書いていたそうです。
大泉洋(48)が演じる源頼朝に登場人物たちが振り回されていくストーリー展開を、そんなメッセージで表現したわけですが、現場の和気あいあいとした雰囲気が伝わってくるエピソードですね」(テレビ局関係者)
小栗と大泉の初共演は’05年放映の『救命病棟24時 第3シリーズ』。それ以来、2人は公私ともに親しくなったという。大泉は大河での初座長を務める9歳年下の友人について、ドラマのガイドブックに掲載されたインタビューでこう語っている。
《小栗くんは座長としてグイグイ引っ張っていくタイプではないですが、いるだけで非常に空気が柔らかくなって現場が和むんです。彼のために頑張ろうと思わせてくる人間力がすごいと改めて思いました。不意に“大泉”とか呼び捨てにしてくるんですけど、つい笑っちゃう(笑)》(『NHK2022大河ドラマ「鎌倉殿の13人」THE BOOK』(東京ニュース通信社)より)
大泉はこのインタビューで“愛され力”と表現しているが、主要人物のなかでも小栗の愛され力に引きつけられているのは、彼ばかりではない。
「源義経役の菅田将暉(28)は、自分のことを“小栗家の長男”と呼ぶほど小栗を慕っています。『鎌倉殿~』に関するインタビューでは“リハーサル、ドライ、テスト、本番と回を重ねるほど呼吸が合っていって、やっぱり安心感がありますね”と、小栗座長への信頼感について語っていました。
いわゆる『小栗会』などと呼ばれる、彼を慕う同世代や若手俳優たちの集まりは、拡大の一途をたどっています。今後発表される『鎌倉殿~』の新キャストにも、『小栗会』メンバーがいる可能性も高いですね」(前出・テレビ局関係者)
『花より男子』で共演した松本潤(38)を介して中村七之助(38)との交流が生まれたり、サッカー選手の香川真司(32)など異業種の友人たちも作ったりと、その人脈は年々広がっている。彼の人望について芸能ジャーナリストの佐々木博之さんが解説してくれた。
「なぜそんなに人望が厚いのかというと、いわゆる“人間力”が高いからということなんですが、コミュニケーション能力が高く、人心掌握術に長けているからだと思います。ですから、仕事場においても共演者だけでなく、スタッフにも気配りを忘れないということでしょう。
映画やドラマに携わるスタッフの人数は膨大ですが、小栗さんは全員の名前を覚え、声をかけるときは必ず名前で呼んでいるそうです。入れ替わりも多いなか、初めて見るスタッフがいると、自分からあいさつに行って、名前を覚えると聞いています。
そのことは彼の視野の広さにもつながっていると思います。 彼は出演した作品を語るときにも、演者としてだけではなく、携わった人間や、観客の視点などでもコメントしています。そんな彼にリーダーシップを感じる人も多いのではないでしょうか。
さらに言えば、現場スタッフへの気配りは、仕事への真摯な思いの表れでもあります。昨今はコロナ禍で以前よりは頻繁に開催できないでしょうが、飲み会では、仲間たちと熱く演技論を交わすそうです。そういった場で刺激を受けたい若手も集まってくるのでしょう。また小栗さんは嘘をつくのが苦手だそうです。目上の人に対しても、自分が言うべきだと信じる意見はきちんと言うので、ベテランからも信頼されているのです」
■人脈拡大のきっかけは映画『クローズZERO』
小栗は大勢の共演者たちと仲を深めてきたが、そのことについて彼自身は次のように語っていた。
《僕らの仕事は、基本的に出会いと別れの連続ですからね。作品ごとに、毎回、新しい出会いがあって、撮影が終わると同時に、必ず別れの時期がくる。役者というのは、人に出会う仕事だと思うんですよ。しかも、必ずコミュニケーションのうえで成り立っている。出会った人の芝居によって、自分の芝居も変わっていくからこそ、出会いもコミュニケーションも大切にしたいんです》(『MORE』’12年3月号)
実は小栗の交友範囲が広がり始めたのは、20代半ばごろ。“嫌われるヤツには嫌われてもいい”と、開き直るようになったからだという。
《誰とでも思いっきり酒を飲んで、それ以来連絡が来なければ会わないし、その後も一緒に遊ぼうと声をかけてくれる人との付き合いは大事にしようと思っています。(中略)『クローズZERO』という作品が大きかったのかもしれない。『クローズ~』のあいつらとは今も集まって飲むんですよ。あいつらがほかの現場で知り合った人を次から次へと呼んだりする》(『日経エンタテインメント!』’10年12月号)
いまや盟友である山田孝之とも‘07年公開の『クローズZERO』の共演以降に親しくなったという。“来るものは拒まず”、小栗のそんな包容力について仕事関係者はこう語る。
「内輪の集まりで『共演NGの役者はいないのか?』と、聞かれたときに、彼は1人のベテラン俳優の名前をあげただけでした。それにしても『○○さんは、まあ大変ですよね』ぐらいで、笑いながら話していましたので、実際は“共演NG”はほぼゼロなのだと思います」
多くの歴史上の人物が登場する『鎌倉殿の13人』。武人たちのリーダーシップや人脈なども描かれるが、小栗が培ってきた“人間力”も、演技や舞台裏で生かされていくことだろう。