60%を超える高い支持率で船出した菅義偉首相だが、NHKの世論調査(1月13日)によると内閣支持率は40%まで急落した。後手後手の新型コロナウイルス対策で国民から愛想を尽かされつつある菅内閣。国民が疑問に思う“なぜ?”の理由を専門家に聞いた!
■Go Toトラベルはなぜ止められなかった?
菅首相が「Go Toトラベル」の全国一斉の一時停止を突如表明したのは昨年12月14日。新型コロナウイルスの感染再拡大の要因と指摘されていても、なかなか止めることはなかった。
「国民よりも、菅政権の生みの親である自民党の二階俊博幹事長の顔色を見ていたんですね」
そう語るのは、政治評論家の有馬晴海さんだ。
「無派閥の菅さんは、党内をまとめ首相の椅子に座らせてくれた二階さんには絶対に頭が上がらない。全国旅行業協会会長をつとめ観光需要を喚起するGo Toトラベルを強く推し進めている二階さんの顔に泥を塗るわけにはいかなかったのです。国民の不安が高まり、ようやく停止を表明しましたが、その直後に、二階さんに呼び出されて“ステーキ忘年会”に参加し世間の批判を浴びました。そもそも菅さんが二階さんの誘いを断れるわけがないのです」
■2回目の給付金になぜ消極的なの?
8日の記者会見で、定額給付金を再び出すかどうかを問われた菅首相は言葉を濁している。
政治アナリストの伊藤惇夫さんが解説する。
「菅さんとしても、支持率が下がり続けるなか、国民の関心が高い定額給付金は、いずれ出さざるをえないと考えているはず。しかし、党内では立場が不安定な菅さんは麻生太郎財務大臣にも気を配らなければいけません。麻生さんは、前回の給付金の多くが貯蓄に回ったとして不満に思っていますから、追加の一律給付には否定的。“財布のひも”を握る麻生さんをどう説得すればいいのか考えあぐねていることでしょう」
そして、伊藤さんはこう続ける。
「菅首相は“ブレる”ことを嫌う政治家です。自分が示した方針を曲げることは“負け”に等しいと考えています。平時ならば、一貫した姿勢が評価されることもありますが、このコロナ禍という非常時には柔軟に対応しなければいけません。危機的な状況には不向きな首相だと思います」
国民の切実な声に、菅首相が寄り添う日は来るのだろうか?
「女性自身」2021年2月2日号 掲載