2月中旬のある朝、悠仁さまは筑波大学附属高等学校(以下、筑附)への坂を、ほかの学生に交じって上られていた。20メートルほど離れた前方と後方に、鋭い眼光を周囲に向けた男性たちの姿が。
「悠仁さまは登下校の際に学校近くで車を降りて、数百メートルほど歩かれております。お友達とお話しされているときでも、常に皇宮警察の側衛官や私服の警官が周囲に目を光らせているのです」(宮内庁関係者)
悠仁さまの登下校の風景は、入学以来変わっていないようだ。しかし、警護を担当する大人たちの環境は激変していて――。
「筑附がある地域を管轄する、大塚警察署の女性署長だった宮崎真由美警視が、2月20日付で異動したのです。昨年2月に着任したばかりで、“何があったのか”と首をかしげる声もありましたが、異動先は第九機動隊長と栄転でした。“つつがなく大役をこなした”という評価があったようです。
宮崎さんの後任には、皇室の警備も担当していた前川雅信警視が就いています。宮崎さんも前川さんも警視庁の警備部門出身で、ひきつづき大塚署は“悠仁さま警護強化シフト”を敷く布陣と言えますね。
大塚署はもともと警備部門出身者が署長に就くことは多くなかったのですが、紀子さまが悠仁さまの通学環境の安全にご不安を抱かれていたとあって、警察としてもそうした人材を配置するようになっています」(警視庁関係者)
紀子さまが不安を募らせておられたのも無理はない。2019年、悠仁さまが通われていたお茶の水女子大学附属中学校の校舎内に刃物が置かれていた事件が起きた。
「また昨夏には、安倍晋三元首相が銃撃され亡くなる事件が起きたばかりで、警衛・警備体制については、皇室のなかでも非常に大きな関心事となっておりました」(前出・宮内庁関係者)
さらに、天皇ご一家や皇族方が、護衛を担当する皇宮警察へ対する不信感を一気に高める事態が起きていた。昨年6月16日発売の『週刊新潮』が、皇宮警察内部で皇族方への悪口が横行していると報じたのだ。
渋滞にはまって苛立つ紀子さまの表情を“般若”とたとえた職員がいたなどと、“皇室誹謗がはびこっている”という内容に、宮内庁内には衝撃が走った。前出の宮内庁関係者はこう続ける。
「特に紀子さまは昔から、“将来の天皇”である悠仁さまに不測の事態が起きてはならないと心を砕いてこられたからこそ、より強い不信感を抱かれたと聞きました。また最近は、皇宮警察内で不祥事が絶えないことに対しても懸念を示されていたそうです」
■異動する直前まで“ルフィ事件”を…
2019年には皇宮警察学校の懇親会での未成年飲酒、護衛官4人が飲酒後にみだらな行為に及んでいた不祥事が発覚。2020年には入浴中の同僚に対する“のぞき事件”、昨年には窃盗容疑で護衛官が逮捕……と、毎年のように問題が発生し、紀子さまは憤られていた――。
「相次ぐ不祥事に、紀子さまは皇宮警察内部に“喝”を入れる人事の必要性を求められていたというのです」(前出・宮内庁関係者)
そこで白羽の矢が立ったのは、人事が発表されると警視庁内に驚きが広がる人物だった。
「20日付の人事で、小林仁捜査一課長が、皇宮警察学校長に着任すると発表され、警視庁内が騒然としました。というのも、小林課長は内示があった2月上旬まで、広域強盗事件の主犯格『ルフィ』こと渡辺優樹容疑者ら指示役や実行犯たちを、国内外で一斉に逮捕する指揮を執っていたからです。
指示役が逮捕されたとはいえ、まだ事件の全容解明が進められている最中ですし、“あれほどの実績がある小林さんを皇警に異動させるとは……”と驚く声が上がっていました」(社会部記者)
小林氏は誰もが実力を認める“伝説の鬼刑事”なのだという。
「小林さんは詐欺や横領といった事件を担当する捜査二課に長く在籍していました。捜査に加わった案件で有名なのが、2001年の外務省機密費流用事件です。
約7億円もの官房機密費をだまし取った外務省職員が、愛人用のマンション購入や競走馬の購入に充てていた前代未聞の犯罪で、現職を含めた歴代事務次官を筆頭に、多数の外務省幹部が更迭などの処分を受けました」(前出・警視庁関係者)
そんな強面刑事が異動したのは、皇宮警察に対する“ショック療法”を狙ったためで――。
「皇宮警察学校の学校長は、慣例では生え抜き職員の“上がりポスト”とされてきました。警察庁直轄の皇宮警察は、採用から育成まで独自で行っており、護衛官の身分は国家公務員です。
そのため、エリート意識が強い風潮が組織内にあって、一地方警察である警視庁を見下している人は少なくなく、今回の人事で“重要ポストを奪われた”と屈辱を感じている人もいるほどです。皇室の方々は皇宮警察全体の意識改革を期待され、この人事に理解を示されていると聞いております」(前出・宮内庁関係者)
警視庁からやってきた“鬼刑事”の力で、紀子さまが願われた悠仁さまの“鉄壁の警護”実現にまた一歩近づいた。