※記事内には、性暴力の被害に関する詳細な描写があります。フラッシュバック等の症状がある方はご注意ください。
「何人もの女性たちから『私も榊氏から性暴力を受けた』という声が、私のもとに届いています。それも1件、2件の話ではないんです。未遂を含めなくても、両手では足りないほど。ある女性は『榊英雄が性被害の映画を撮ったことが許せない』と何度も怒りをあらわにしています」
そう語るのは、カメラマンの早坂伸氏。早坂氏が撮影を務めた映画『蜜月』の監督であり、俳優の榊英雄氏(51)による複数の女性への性暴力が、『週刊文春』で報じられたのは3月10日のこと。
「榊氏の作品やワークショップに参加していた4人の女優たちが被害を告白。映画へのキャスティングを持ちかけられるなどして、性的な行為を強要されたそうです。榊氏はこの報道の多くについて『合意のうえだった』と主張していましたが、その翌週にも4人の女性が新たに被害を告発しています」(芸能関係者)
榊氏は、所属事務所・ファミリーツリーの公式サイト上で《今回の記事上で、事実の是非に関わらず渦中の人とされてしまった相手の方々にも、大変申し訳なく思っております》などと謝罪したものの、以後、公の場では沈黙を貫いている。
しかし、榊氏の“余罪”はこれだけでなかった。早坂氏は、長年榊氏と作品を作ってきたが、榊氏の行状を知り、厳しく批判。そのため、早坂氏に相談をする女性たちが現れたのだ。
今回、本誌は早坂氏を通じて、新たに被害の声を上げた3人から詳細な証言を得た。だが、具体的な時期や被害場所、出演映画については、女性たちの特定を避けるために記載しない。
■演技指導を口実に繰り返した卑劣行為
「榊氏が講師を務めるワークショップに参加したところ、主催者を通して榊氏の映画の出演者募集があったんです。応募すると出演が決定しました。それで、数日後に衣装合わせのために榊氏の事務所へ行くことになったんです」
そう涙ながらに語るのは女優のAさん。衣装合わせのときにはスタッフが同席していたという。
「その後、榊氏に演技について相談したいと言われ、事務所の一室で2人きりになったんです。出演する作品には性的なシーンがあったので、私のことを気遣ってくれたのだと思っていました」
2人になると、榊氏は参考資料として性的な動画を見せ「このように演技してみて」と指示。
「その時点でも、私がそうしたシーンを演じるのが初めてだったので、気を使って練習させてくれるのだと思っていました。
でも、しばらくすると、彼の息遣いが荒くなってきて……。演技に合わせるようにして、下半身をあらわにして行為に及んできたんです。もちろん、同意を確認するなんてことはありませんでした」
拒絶しようにも、知名度の高い監督と駆け出しの女優には、圧倒的な力の差があった。
「すごく嫌で怖かったけれど、業界歴も浅く、映画の撮影についても無知だったので、そのときはどこまでが演技指導なのかわかりませんでした。“こんなこともできないでどうするんだ”と思われたり、拒否して悪い評価がつくことへの恐怖もあったんです」
その後も、Aさんのもとには、会いたいということをほのめかすメッセージが来たが、会うことは避けたという。
「自分が被害者であることが受け入れがたくて、これまで口を閉ざしてきました。あのときに声を上げていたら、こんなに被害者が増えなかっただろうって……。すごく後悔しています」
女優のBさんも、同じように映画への出演を持ちかけられた後、事務所に呼び出された。
「どんな役になるかをまだ聞かされておらず、台本を渡すから赤坂の事務所に来るようにいわれたんです。事務所に行くと榊氏以外には誰もいませんでした」
Bさんに対し、榊氏は“ヌードシーンがあるから服を脱げ、演技指導をする。男を誘惑するような演技をしろ”と要求したという。
「今思えば演技指導とは到底思えないんですけど、当時は“できないと思われるのも悔しい”という思いがあって……。そのまま、性行為を強要されました。逃げたくても、逃げたら役者として終わるのではないかという恐怖で動けなかったんです」
その後も、Bさんのもとには「すぐ会いたい」「抱きしめたい」などのメッセージが届いたという。
「仕事なので、撮影だけは参加しました。けれど、もう二度とかかわりたくなかったので、舞台挨拶は欠席しました」
■いきなり路地に連れ込まれ、抵抗すると「殺すぞ」
役者として成功したいという女優たちの情熱につけ込み、“演技指導”の名のもと、性暴力を振るってきた榊氏。
しかし、なかには“演技指導”という建て前すらなく、いきなり性暴力を受けたという証言も。
女優のCさんは榊氏の映画にオーディションを経て出演。オーディションや現場での榊氏に不審な点はなく、撮影自体は問題なく終了した。
「“役者や監督としてアドバイスできると思うから、今度、話を聞くよ”と食事に誘われたときには、撮影中に演技についての助言を受けていたこともあり、学びがあればと思って承諾しました。それで、撮影からしばらくたってから、榊氏が指定した居酒屋で食事をすることに。その最中も、役者や監督としての心構えを話したり、娘さんのことを話題にしたりと、こちらが警戒するような行動は特になかったんです」
日曜日で居酒屋の営業時間が短く、それほど遅くない時間帯に店を出た2人。しかし、店が駅から離れていたせいか、通りには人けがなかった。
すると榊氏は、突然Cさんの腕をつかみ人一人が通るのもやっとな建物と建物の隙間に押し込んだという。
「肩と頭を力いっぱいに抑えられ、跪かされました。いつのまにか彼は男性器を出していて『咥えろ』と。『嫌です』といっても無視され、『咥えろ、咥えろ』と低い声で繰り返し要求してきました。
頭をつかまれていて動けないなか、無理やり立ち上がって抵抗しようとしたら『静かにしろ』『殺すぞ』と脅されて……。真っ暗なうえに、彼は道路を背に立っていて逃げられない。本当に殺されるのではないかと思いました。
行為後は人が変わったように『大丈夫?』と声をかけてきて、家まで送ろうとしてきた。意味がわからず怖かったです」
すきを見て逃げ出したCさん。警察に行くことも頭をよぎったが、被害について細かく説明したり、状況を再現することには精神的に耐えられそうもなかった。
「昔痴漢を捕まえたときに、高圧的な事情聴取を受けたことがありました。自分が被害者の状況で、そんなふうに根掘り葉掘り聞かれたら心が壊れると思ったんです」
さらにその後、Cさんのもとには榊氏から「また飲みに行こうね」とメッセージが届いた。
「気持ちが悪いので、無視していたら、『えっ怒ってる?』と……。自分が何をやったのか理解していないことにぞっとしました」
■被害者には向き合わず、自己保身の日々
数々の女性から非道な行為を告発された榊氏だが、今は自己保身に走る日々だという。
「榊氏は業務提携していた芸能事務所から契約を解除され、妻で歌手の和さん(53)からも離婚を切り出されています。『週刊文春』で最初に4人の女性が被害を告発したときに、榊氏は『妻には謝罪し、許してもらっている』と語っていました。
しかし、榊氏の、女性への加害を家庭の問題にすり替えようとする姿勢は世間的にも非難の的に。妻の和さんも《一度も榊を許したことはありません》と公式サイト上で榊氏を痛烈に批判しています。それでもなお、現状では会見などをして被害者に謝罪するつもりはないようです」(前出・芸能関係者)
本誌が、榊氏に対し事実の確認を求めたところ、代理人となる弁護士事務所から以下のような回答が返ってきた。
「榊氏において、相手方の同意なしに性的行為を行ったり、ましてや性的加害や暴行を行った事実はございません」
あくまでも“同意のうえ”と強弁する榊氏。彼女たちの消えない心の傷に、向き合う日は来るのだろうかーー。