(写真:アフロ)
5月下旬から出演してきたアイスショー『ファンタジー・オン・アイス』が6月26日、静岡で千秋楽を迎えた羽生結弦(27)。
日本全国および台湾の映画館でライブビューイングも行われ、「お手振りに、おなかチラ見せに、ファンサービスが最高だった」「エロかっこよくって、新しいゆづが見られた」など、各地でファンの熱狂を生んだ、熱い1カ月となった。
6月18日放送のスポーツニュース番組『S-PARK』(フジテレビ系)では、羽生がインタビューに応じ、今回のショーや現状におけるフィギュアスケートとの向き合い方について口にしている。
「今まで120%だったのが、さらに150%ぐらいの力を振り絞りながらやらせていただいている」「ダンスを独学で学んだりとか」
まだまだ進化する姿を見せようという気概を感じさせる。
そんななか北京五輪以降、羽生ファンがずっとやきもきしているのが、“現役続行か引退か”。
ただ、「来シーズンは現役を続けるだろうとみている関係者が多い」とはフィギュア関係者の言。
それは羽生の4回転アクセル(4回転半ジャンプ)への熱量ゆえだという。前出の『S‐PARK』のインタビューでも、
「やっぱり4回転半に向けては日々挑戦していきたいなという気持ちは強くあります。絶対に降りたいと思っていますね。もちろんみなさんが見ている前で降りたいという気持ちが強くあります」
と、4回転アクセル成功への執念を熱く語っている。
「4回転アクセルのような高難度のジャンプを跳ぶとなれば“試合で”と考えるのがふつうです」(前出・フィギュア関係者)
しかし、ここにきて増す“来季現役続行”の期待に、異論を唱える声も聞こえてきた――。
「現役続行を、明言していないのも事実です。羽生選手はまだ迷っているのではないでしょうか」
そう話すスポーツライターは、最近の羽生の“ある言葉”を引き合いに出す。
「『ファンタジー・オン・アイス』の神戸公演のパンフレットのなかで、羽生選手がハビエル・フェルナンデス(31)と対談しているのですが、気になる発言があったのです」
スペイン出身のハビエル・フェルナンデスは、羽生と親交の深いスケーター。
「2人は、カナダの練習拠点で一緒にブライアン・オーサーコーチ(60)の指導を受けた仲間です。ともに過ごした期間は6年にも及びます。今回のショーにハビエルも出演しており、コロナ禍で会えなかった2人が久々に会えました」(前出・スポーツライター)
この貴重な再会に、ショーの関係者も着目したのか、パンフレットで対談が実現したというわけだ。
「対談の内容はというと、2人がコロナ禍での苦労をお互い吐露したり、今回のショーでのこだわりを披露し合ったりというものです。そして、会話が進むなかで、羽生選手からハビエルに向かって質問をぶつける場面があるんです。それが『競技をする選手とプロスケーターの違いはどう感じていますか』というものです」(前出・スポーツライター)
■頭をよぎる選択肢 羽生の問いへの答えは
長年熱心に羽生を追い続けているファンにも話を聞いてみると、
「羽生くんがプロスケーターについてなにか質問するようなインタビューや対談は、私は見た記憶がないです。珍しいと思います」
という。これについて「羽生選手の“心の揺れ”が感じられる質問ではないでしょうか」と前出のスポーツライターも分析する。
「ハビエルは平昌五輪で銅メダルに輝いた翌’19年、競技生活から引退し、プロスケーターに転向しています。プロとして経験を積んできた彼に、競技選手時代との違いをぜひ聞きたかったのでしょう。羽生選手の頭の中にも、遠くない未来の“引退”“プロスケーター”の選択肢がよぎっていて、悩んでいるからこそ出てきた質問といえるのではないでしょうか」
仲間であると同時にライバルとして、ソチ五輪、平昌五輪で激戦を繰り広げてきた2人。さらに振り返れば、羽生にとって3歳年上のハビエルは“一歩前を行く”存在でもあった。
そもそも、羽生が’12年に仙台からカナダに拠点を移したのは、ハビエルと一緒に練習できることが大きかったようだ。
「’11年のグランプリファイナルで2種類の4回転ジャンプを決めたハビエルを目の当たりにした羽生選手は、『彼のジャンプの秘訣を知りたい!』と、同じ拠点に移る決断をしたといいます。練習仲間になってからは、ハビエルのフォームを間近で見て研究したそうです」(前出・スポーツライター)
そしていまは“プロ”の先輩。ハビエルの意見を参考にしながら、羽生は自分の今後について思いを巡らせているのでは――。
この7月からフィギュアの新シーズンが始まる。6月末には6カ国で開催でされるグランプリシリーズのアサイン(選手の割り当て)が発表される予定だという。
「もちろん、羽生選手がグランプリシリーズに出場せず、12月の全日本選手権から参戦するという可能性もあります。ケガをした昨年も、公式戦は全日本が初戦になりましたから。それでも優勝して一発で北京五輪の切符を手にした羽生選手なので、新シーズンもどんなスケジュールを組むのか大注目です」(前出・フィギュア関係者)
今後の動向から目が離せない羽生だが、そんな彼から“競技とプロとの違い”を聞かれたハビエルがどう答えているかというと……。
「ハビエルは、『競技をやめると決めた瞬間から、新しい人生が始まった』と話しています。なにもかも違うと感じているようです。羽生選手も彼の経験談に思うところがあるのではないでしょうか」(前出・スポーツライター)
盟友からリアルな実感を聞いた羽生は、果たしてどんな決断をするのだろうか。