今年4月、御料牧場で静養された天皇ご一家 /(C)JMPA
2週間ほどの那須御用邸でのご静養を終え、天皇ご一家は9月5日に皇居に戻られた。そのわずか2日後、愛子さまは、“大任”を果たされることにーー。
「9月7日、皇居で皇室会議のメンバーとなる皇族議員の選挙が行われ、愛子さまが初めて投票されるとともに、立会人を務められたのです」(宮内庁関係者)
皇室会議とは、皇位継承順位の変更や男性皇族の結婚など、皇室についての重要な事柄を審議する会議。直近では2017年12月、上皇さまが退位される日程などを話し合うために開催されている。
「皇室会議は、議長を務める総理や衆参両院の議長などが議員となるほかに、皇族議員が2人加わり、計10人で構成されています。また、皇族議員が皇室会議に出席できない場合に代理を務める予備議員も2人選ぶことが皇室典範などで決まっています」(前出・宮内庁関係者)
この議員選挙では、天皇陛下と上皇さまを除く成年皇族が互いに投票。1票に4名のお名前を記入し、得票数に応じて選ばれる。皇室担当記者はこう話す。
「今回の選挙は、4年の任期満了に伴って行われました。1979年以降、選挙の立会人を務めてきた常陸宮さまが新型コロナウイルスに感染し入院されているため、愛子さまがその任にあたったのです。
愛子さまが立会人となったことは史上最年少、かつ女性皇族としては初めてだと思います。皇族方の投票を見届けた愛子さまは、落ち着いたご様子で最後に1票を投じられたそうです」
この日、愛子さまが初めて臨まれたのは皇族議員選挙ばかりではなかった。
「皇族議員選挙が終わってすぐに、両陛下と愛子さまはご一緒に、皇居などの清掃にボランティアで取り組む勤労奉仕団の人々と面会し、慰労されました。愛子さまがこの行事に臨まれたのは成年後初めてとなります。雅子さまもご体調を崩されて以来、この時期の勤労奉仕団へのご会釈はなさっていませんでした。
大学生として最後の夏休みを終えようとしている愛子さまに対して、“国民に寄り添う”というなさりようを伝え、卒業後の本格的なご活動を支えたいというお気持ちから臨まれたのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
■投票で浮かび上がる皇室が直面する危機
投票の結果、皇族議員には前回の任期も務められていた秋篠宮さまと常陸宮妃華子さまが再選された。予備議員には、紀子さまと美智子さまが選ばれたのだがーー。
「7日の夕方になって、美智子さまが予備議員を辞退なさり、また次点だった三笠宮妃百合子さまも辞退されたのです。美智子さまは、“皇室会議に参加すれば、上皇さまの意思を反映していると誤解を招くおそれがある”という理由からで、百合子さまは100歳という高齢のために辞退することを決められたそうです」(前出・皇室担当記者)
このような状況は、いま皇室が抱えている課題を浮き彫りにしている。元宮内庁職員で、皇室解説者の山下晋司さんはこう語る。
「愛子内親王殿下が今回の選挙の立会人になられたことは、皇室全体で高齢化が進んでいること、また、皇族数、とくに男性皇族が少なくなっていることを表しているといえます。
宮中祭祀の大祓の儀に皇族代表として参列するのは、原則として成年の男性皇族に限っていましたが、男性皇族が少なくなってきたことから、2014年以降は女性皇族も参列するようになりました。
今後は、愛子内親王殿下も成年皇族としてのお仕事を増やしていかざるをえないでしょう」
こうした事態を見すえられていたのか、雅子さまは愛子さまが小学4年生のころに、親しい知人に次のように語っていたという。
「愛子には愛子の人生があり、皇室に生まれた運命、持って生まれた運命というものがあります。もちろん親としての娘の人生への希望はありますが、私どもの気持ちだけで、あの子の運命を、どうこうするわけにはいかないのです」
皇室が直面する問題にも取りくむ皇室会議。将来的には、皇位継承問題が議題となる可能性もあるのだ。前出の宮内庁関係者は、
「今回の選挙では常陸宮さまが欠席されたため、皇室の中でも皇后さま、上皇后さま、秋篠宮ご夫妻の次に位の高い愛子さまが立会人を務められることになりました。しかし、ご身位が高いはずの愛子さまには皇位継承権はなく、現在の皇室は大きな矛盾をはらんでいるといえます」
また、男系男子による継承という前提はあるものの、女性天皇を認めるべきという世論は根強い。
「皇族議員選挙への参加は、“安定的な皇室の存続のためにどうすべきか”という問題に、愛子さまが向き合われる機会になったように思います。現状の制度では、皇族数は減少するばかりで、遠からず皇室は危機に瀕します。皇室の未来は、皇族方それぞれの1票にかかっているとも言えますし、雅子さまも“愛子自身の1票で運命を切り拓いてほしい”とお考えでしょう」(前出・宮内庁関係者)
愛子さまによる運命の選択を、これからも雅子さまは真剣な眼差しで見守られていく。