《本日はパパはニュースキャスターのイベントがありました。コロナ禍なのに、お集まりくださった方々、遠方から駆けつけて下さった方ありがとうございました》
3月21日、Instagramにこう綴ったのは西尾まり(48)。同日は田村正和さん(享年77)が’87年に主人公を演じた『パパはニュースキャスター』(TBS系)のイベントが、横浜市内で開催された日だった。
「ドラマ番組の出演者やスタッフが自ら制作した番組を振り返るイベントで、観覧客を200名ほど迎えて実施されました。西尾さんだけでなく、本ドラマで田村さんの娘役を演じた大塚ちか子さん(50)と鈴木美恵子さん(48)も出席。さらに脚本家の伴一彦さんらも参加し、和気あいあいとした会になったそうです」(ドラマ関係者)
西尾は冒頭のコメントに続けて、《正和さんをこのメンバーでしのぶ事もでしました。本当に本当に色褪せない面白いホームコメディだなぁと、改めて思いました。こうやって元気で集うことができて感謝しかありません》とコメントしている(原文ママ)。
田村さんが逝去してから、今日で1年。4月からはCS放送局「衛星劇場」で6カ月間にわたり、若き日の田村さんの出演映画が放送されるなど、今もなお大スターを偲ぶ声は止まない。
■50年以上連れ添った妻・和枝さんとの出会い
ドラマへの出演は、’18年放送の『眠狂四郎 The Final』(フジテレビ系)が最後となった田村さん。晩年は表舞台から退き、隠居生活を送っていた。そんな田村さんを側で支え続けてきたのが、3歳年上の妻・和枝さんだった。
田村さんは、’70年に銀座の一流テーラーの娘である和枝さんと2年の交際を経て結婚。出会いは友人宅のパーティーだった。同年9月に本誌が取材した際、2人は互いの第一印象についてこう語っている。
「無心にゲームしてる彼がクールで純情そうで」(和枝さん)
「彼女は初対面から親切で気がついて」(田村さん)
結婚後も人気俳優として多忙な日々を過ごす田村さんだったが、和枝さんをロケ先に帯同することもあったという。テレビ局関係者が言う。
「’04年放送の『新ニューヨーク恋物語』(フジテレビ系)の撮影では、ご夫婦で半月あまりNYに滞在しました。ある日、2人でホテルのクラブで過ごしていると、人気ドラマ『刑事コロンボ』のコロンボ役を演じたピーター・フォークを和枝さんが発見。偶然にも同じ場に『古畑任三郎』と『コロンボ』が居合わせたことに、田村さんも大笑いしたというのは有名なエピソードです」
田村さんと和枝さんの間には、1人娘のAさんがいる。’01年にある企業の子息と結婚し、現在は社長夫人となっている。
かつて田村さんは週刊誌の対談で、《子供とはあまりつき合わないですね。子供が嫌いだから》(『ヤングレディ』’76年4月12・19日合併号)などと語っていた。
「田村さんは食事をする姿を人に見せないだけでなく、ガムの噛み方にまでこだわる人。そのような“美学”は家族観にも及びました。雑誌やテレビのインタビューでは、所帯臭さを感じさせないコメントを徹底していました」(芸能関係者)
しかしながら、実際には子煩悩な父親だったようだ。田村さんと30年ほど前から交流してきた仕事関係者は、本誌にこう語っていた。
「取材などでは“家族には関心がない”というスタイルを見せていましたが、本当はお嬢さんのことを溺愛していました。私にも娘がいたもので、『いくつになっても可愛いから甘やかしてしまう』といった話をすると、田村さんもしみじみと『本当は誰のところにも嫁がせたくなかったんだけど、いまでは良かったと思っているよ』と語ってくれました」
■“最後のデート”は夫婦水入らずで散歩
生前、本誌に俳優業について「もう十分やってきたから……」と“引退宣言”ともとれる発言をしていた田村さん。その後の余生を、和枝さんと慎ましやかに過ごしていた。
そんな田村さんが健康のために欠かさなかった日課が散歩。本誌もその姿を何度か目撃している。
’19年6月、ウォーキングを終えて自宅に戻ろうとする田村さんを本誌は直撃。記者が「どのように毎日過ごされていますか?」と問うと、「のんびりしているよ(笑)。たまに天気の良い日は、気が向いたらこうやって歩いてみたりね」とコメント。
突然の問いかけにも、嫌な顔ひとつせず応じてくれた田村さん。和枝さんについても聞いてみると、こう答えてくれた。
「カミさんは、俺より元気。心配ないよ(笑)。夕方になったらカミさんと2人で食事して、ニュース番組やテレビを見て、そして寝る。健康的な毎日ですよ」
それまでは1人で散歩をする姿が目撃されていた田村さんだったが、’21年に入ってからはある変化が。田村さんの散歩ルートに面する一軒家に住む近隣住民は、本誌にこう証言していた。
「田村さんはいつも決まって一人で散歩していたのですが、ある時からは和枝さんと一緒に歩くようになったんです。つかず離れずの距離感で、奥さんの話を田村さんが笑顔で聞いていましたね」
“他人に私生活は見せない”という美学から一転、堂々と和枝さんとの“最後のデート”を楽しんだ田村さん。その深い愛情で、天国から家族を見守り続けていることだろうーー。