2022年、日本中が注目するトピックについて、各界のスペシャリストにその展望を占ってもらった。
【コロナ第6波:再び感染拡大 80%】日本感染症学会専門医・寺嶋毅さん
来年、新たな感染拡大が起きるかどうかについて、東京歯科大学市川総合病院の寺嶋毅教授は、「ポイントは4つある」と語る。
まず1つ目は、“ウイルスそのものの広がりやすさ”。
「変異株『オミクロン株』については、感染力、重症化率など、まだ詳細なデータがありません。また世界のどこかで感染力が強い新たな変異株が生まれる可能性もあります。それらが日本と行き来のある国々で今後どれだけ広がるか。そして日本の水際対策でどれだけ封じ込められるか。これが感染拡大の有無に大きく影響します」
2つ目は、“感染対策がどれくらい徹底・継続されるか”。
「コロナ禍以降、マスク着用や手洗いが習慣化したことで、ある程度感染を減らしているというデータも出てきています。このような基本的な感染対策は予防効果があると思いますが、今後それがどのぐらい持続されるか。新規感染者数が減ったからといって、対策を緩めてしまうと感染者が増える可能性はあります」
3つ目は、“ワクチン接種率”。
「接種率が日本の全人口の80%を超えるかが、感染が拡大するかどうかのポイントになるでしょう」(※2回目接種を終えた人は、12月17日時点で、全人口の77.6%)
4つ目は、“ワクチンの予防効果がどの程度持続するか”。
「3回目の接種が迅速に進められることが大切です。海外では、2回目接種後6〜8カ月ぐらいでワクチン効果の低下傾向が見られます。日本でワクチン接種が加速したのは、8〜9月でした。そこから考えて6カ月後というと来年の2月ごろ。3回目接種がどのぐらい進むかが大きなポイントです。そしてオミクロン株も含めた変異株に対し、ワクチンの効果がどれほどなのかによって、感染者数も変わってくるでしょう」
寺嶋教授は、感染拡大が起きるかどうかは、この4つのせめぎ合いになると言う。では、“第6波”で感染が広がる可能性はーー。
「何をもって“第6波”と定義するのかにもよりますが、“警戒すべき”という意味では、80%です。今は感染者が減った状態ですが、今後増え始めるとしたら、オミクロン株の影響によるもの。もう1つは、ワクチン効果が落ちてくる、来年2〜3月ごろが要注意になるのではないでしょうか」
■「岸田政権」崩壊で政権交代する確率は…?
【岸田政権:崩壊で政権交代 10%】共同通信社 編集委員兼論説委員・久江雅彦さん
「まず、来年の政治日程で政権に影響を及ぼす可能性があるのは、夏の参議院選挙ぐらいしかありません。もし、自民党、公明党が選挙で大敗して政権が倒れるようなことがあるとすれば、それはよほどのスキャンダルか、国内でとてつもないことが起こった場合でしょう。そう考えると、岸田政権が来年崩壊する可能性は10%程度だと思います」
政治情勢に詳しい、共同通信社の久江さんはそう話す。次の参院選では、現在の定数245人のうち、124人が改選され、そのほとんどが比例と複数区。1人区は32しかなく、これまで自民党が20以上の議席を確保してきた。
「比例は、そのときの各政党の支持率によってほぼ比例分配され、複数区は与野党で分け合います。仮に次の参院選で自公が負けても、非改選の議席があるので、まだ過半数割れや衆参のねじれ現象は起きないでしょう」
ただし、閣僚や自民党内に大きなスキャンダルなどがたびたび起こるようなことがあれば政権が揺らぐ可能性はある。
「今回の岸田内閣の閣僚たちの身体検査は不十分だったと言われています。来年の通常国会で、何らかのスキャンダルで岸田総理が答弁に追われることになれば、影響を受けるでしょう」
久江さんは、来年よりもむしろ再来年に“崩壊”の危険性があると読む。それは“大増税”による国民からの批判だという。
「永田町では、“岸田政権は財務省と一体”だと言われています。財務省は、おそらく来年の参院選まで政府による補助金や給付金などのバラまきについて黙認しますが“選挙後はそうはいきませんよ”と、内々に伝えていると思います。つまり参院選後の秋以降、増税論議一色になる可能性がある。選挙後に、財務省主導でこれまでため込んできた宿題、負の遺産の整理が行われることになるでしょう。政府がずっと手をつけなかった“大増税”というパンドラの箱を開けるわけです。よって、来年は政権が持続できても、問題は再来年。岸田政権は大きな試練を迎えることになるのではないでしょうか」
※記事は12月17日までの取材にもとづいています。