(写真:アフロ)
8月3日(現地時間)、エンゼルス・大谷翔平選手(29)がマリナーズ戦に二刀流で先発出場。右手と指のけいれんで緊急降板した一方で、打者として出場を続け、今季メジャー最速の40号ホームランを放った。
7月下旬から、たびたびけいれんで交代している大谷。試合後のインタビューで、けいれんの理由を、「一番は疲労じゃないかなとは思いますね。できるかぎりの体調管理はしていて、その中で(試合に)出られるという判断ではあったので、結果的にこういう形になってしまって申し訳ないなと思います」と答えつつも、「休むような試合はもうないと思うので、できるなら全部出たい」と前を見据えて宣言した。大谷の勢いは今後も止まらないようだ。
「そもそも二刀流の時点で体への負担はほかの選手より大きく、さらに今季は、すでに80試合連続でスタメン出場をしています。普通なら大きな故障や不調になってもおかしくない状況で、けいれんだけで済んでいること自体が、大谷選手の肉体のすごさを物語っています。もはや同じ人間とは思えません」(スポーツ紙記者)
そんな大谷の活躍ぶりに対して、ついに現地では“宇宙人”疑惑まで浮上しているという。完封、そして2本の本塁打を打った7月27日(現地時間)の試合後には、エンゼルス公式ツイッター(現X)が、《確認済:UFOは実在しており、私たちはそれを1つ持っているかもしれない》と投稿していたのだ。
実はかつて、本誌にも“宇宙人”の驚異を裏付ける異次元の証言が届いていたーー。
話してくれたのは、同愛記念病院顧問の土屋正光先生。大谷が日本ハムに所属していたころのチームドクターで、誰よりも早く大谷の右ひじの異変を指摘した人物だ。そのため大谷からの信頼も厚く、’18年の手術前には、「大谷が球団側に土屋先生のセカンドオピニオンを求めた」と報じられていた。
’18年、大谷の体に触れたときの印象について、土屋先生は次のように語っていた。
「立派でしたね。よい選手というのは、みんな筋肉がとても柔らかく、しっとりしているんです。大谷選手は関節も柔軟で、一流選手の体という印象を持ちました」
柔らかく、しっとり。どこか美味しそうにも聞こえるこの表現に、大谷の肉体の秘密が詰まっているのだ。
ではいったい、“しっとり”とした筋肉とはどういう状態なのだろうか。NHK『みんなで筋肉体操』にも出演していた、順天堂大学スポーツ健康科学部先任准教授の谷本道哉さんに解説していただいた。
「柔らかい筋肉は、関節の可動域を広げますが、ケアがよく行き届いていることの表れでもあります。疲労が溜まった筋肉は硬くなります。『肩が張っている』といった、筋肉がこわばった状態では、能力も十分に発揮されません。
そういうときは、マッサージやストレッチをするとほぐれます。同じ姿勢で仕事をしていると、首肩腰が疲労で固まります。そこで伸びをしたり、揉んだりして、柔らかくなるのと同じです」
投げて、打って、日々体を酷使していれば、もちろん筋肉は硬くなりやすいだろう。だが、大谷の筋肉は“ひと味”違うという。
「大谷選手は、自身のコンディションにとても気を配っていて、疲労を残さず、常に体をベストな状態で保っている印象があります。ストレッチなど、日々の丁寧なメンテナンスの結果として、大谷選手は硬くならず、“しっとり”とした筋肉を維持できているのだと思います。けいれんのあとも充分なケアをしたことで、すぐ活躍できたのではないでしょうか」(前出・谷本さん)
睡眠や食事など、徹底した体調管理で知られている大谷だが、その中には体のメンテナンスも含まれている。
「高校時代にけがをして以来、大谷選手はトレーニングだけでなく、体のケアにも力を入れ始めたようです。当時は、1日2時間以上ストレッチをしていたといいます。その成果もあって、肩甲骨まわりの筋肉が大変柔らかくなり、手の甲を腰に当てたまま、両肘をぐるっと体の前まで寄せることができるようになったそうです」(前出・スポーツ紙記者)
また、花巻東高校時代のトレーナーで、現在は花巻市内で「東北スポーツ整骨院」を営む小菅智美さんも、大谷の筋肉の柔らかさを絶賛している。
「大谷選手の筋肉に、普通の人間と違う成分が含まれているわけではないです(笑)。ただ、しなやかさはずば抜けています。まるで竹のように、動かす部分・しなる部分・固定する部分のバランスがいいのです。しなやかに動いていると、力がさまざまな箇所に分散するため、けがも少ないのでしょう」
そして、“しっとり”筋肉の秘訣はーー。
「なにか特別なことをしているのではなく、日々の積み重ねだと思います。高校生のころからとても勉強熱心で、さまざまな筋肉の正式名称まで覚えていましたから」(前出・小菅さん)
日々のケアや勉強など、地道な努力でジューシーな肉体を手に入れた大谷。そんな彼の筋肉は、まだまだ“美味しく”なる可能性があるという。前出の土屋先生は、
’21年に、コロナ禍での予想外の大谷の進化についてこう語っていた。
「’20年は開幕が遅くて、登板は2試合で終わってしまいました。しかし大谷選手は、その間に全身の筋トレをして、手術で落ちた筋肉を戻したようです。下半身を強化して、軸もぶれなくなったと感じます」
大谷は逆境のときほどたくましくなる。けいれんを乗り越えたころには、宇宙人すら驚く肉体になっているかもしれないーー。