(写真:森田直樹/アフロスポーツ)
シーズンオフでも話題に事欠かない羽生結弦(26)だが、いま注目されているのは彼の“練習姿”。5月中旬に、『羽生結弦写真集The Real 美しき練習着の勇姿』(山と溪谷社)が発売されたためだ。
「練習中やオフショットなどが集められた写真集で“素”が見られると評判。ジュニア時代から現在までの成長が詰まっているので、ゆづのアルバムを見ている気持ちになれます!」(羽生のファン)
そこで本誌は今回、羽生の“練習姿”を知る人々を取材。貴重なエピソードの数々を発掘――!
「羽生選手は陸と氷の上では、人間が全然違う」と話してくれたのは、青森県のテクノルアイスパーク八戸の坂本久直館長。同リンクは、羽生がアイスショーなどで訪れ、東日本大震災直後には練習場所として使っていたこともある。
「私が見たことがあるのはショーの前の練習ですが、彼はひとたび氷に上がると、自分の世界に入ってもう誰も受け付けない。周りを一切見ないでただ一心不乱に練習に取り組んでいました」(坂本さん)
地元のリンク・アイスリンク仙台でのジュニア時代の練習の様子も聞くことができた。当時、リンクの支配人を務めていた新井照生さんは「華奢でマッシュルームカットがかわいかった」という小学6年生のときから、中学、高校と、羽生を見守ってきた存在。
「印象に残っているのは、彼の貸し切りの練習が終わったあとに、『新井さん、モップを貸してください』と声をかけられたこと。スケート靴で上がって氷で濡らした床を、自分で拭いていたんですよ。スタッフがやるからと言っても、自分で掃除したりして。自分一人の貸し切りだからと、スタッフに気を使ってくれたんだと思います」
■「痛めた状態で試合に出たことも…」
そしてもう一人、本誌の取材に答えてくれたのが日野龍樹さん(26)。今年の3月をもってフィギュアスケートの現役を引退し、7月からは会社員として勤めるという日野さんは、羽生と同年齢だ。
小学校4年生のとき合宿で一緒になって以来17年、同期として切磋琢磨してきた“戦友”で“同志”。そんな日野さんが見てきた羽生の“練習姿”とは――。鬼気迫る様子を証言してくれた。
「彼は自分で自分を追い詰めて、練習にひたすら打ち込む選手。究極のストイックですから。できなかったら何時間でもやりますね。たとえば“このジャンプを下りるまでは練習を終わらない”って決めて練習する。それで何回もやりすぎて体が限界を超えて、ひねったりして痛めた状態で試合に出たこともありましたね」
重ねて羽生がほかの選手と違うところを尋ねると、「プーさんのティッシュケース」を挙げる。そこにはアスリートならではの分析が。
「もう周りが見えないくらいの集中力をもって試合に臨んでいると思うんです。でもいざ名前を呼ばれて出番に出ていくときには、プーさんを柔らかく触っていく。大半の選手はひたすらに集中して臨むものだと思うんですが、ゆづはプーさんに触って“一呼吸入れて”から臨むんですよね。
彼の場合、かなり張り詰めた状態に自分を追い込んでいると思いますから、直前でプーさんに“行ってくるよ”と触ることで穏やかな気持ちで試合に挑んでいるということなのかなと思います。かわいくもありますよね(笑)」