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中国・浙江省杭州市で配車サービスの運転手が、逃走中の犯人を警察署まで送迎したと「杭州日報」などが報じている。
2月16日、配車サービスで運転中のファさん(58歳・仮名)は黒い帽子と黒いマスクをつけた細身の青年を乗せた。
青年は乗車後、あたりを注意深く見回し奇怪な言動で「3年間以上牢獄で過ごした人としか関わっていない」などと話していたという。ファさんは不審に思ったが、青年が寝てしまったためそのまま運転した。
1時間ほど経って目的地に近づいた時に警察から1本の電話が入った。
「あなたの車に青年は乗っていますか?その人は、逃走中の犯人かもしれません」と。
警察はファさんに、青年を車から降ろさず最寄りの警察署まで連れて行くように指示した。
その時ファさんはスマートフォンがハンズフリー状態になっていることに気づき、愕然としながら電源を切った。
幸い犯人である青年は寝起きでぼんやりしており、警察との通話内容は聞こえていなかったようだ。
走っていた場所から最寄りの警察署までの距離は約2km。
ファさんは「この2kmの距離はとても緊張して苦痛だった。私の責任は非常に重く、犯人を逃がせない」と思いながら運転したという。
国家施設の国章が付いた建物が見えたため、ファさんは警察署に着いたと思い車を降りた。
しかし降りた場所は警察署ではなく、その数十メートル手前の別の建物だったのだ。
青年も一緒に車を降りてしまったが、彼にとっても見知らぬ土地だったため降りた場所で目的地を探していた。
数十メートル先に警官を見つけ声をかけようとしたファさんに、青年は即座に気づき身を翻して逃走した。青年は近くの公衆トイレに立て篭もったが、警察の協力で無事逮捕された。
警察の調べで、青年は前科持ちの窃盗犯ジャン・モー(仮名・23歳)だと分かった。2月15日の夜、携帯ショップを強盗し10台以上のスマートフォンとノートパソコンを盗み、被害額は3万元(54万円)相当だったという。
警察は携帯ショップからの通報後、防犯カメラやインターネットの登録情報などを用いた捜査によって、ファさんの車に乗っていると特定したそうだ。
この事件に対しネットユーザーは、
《運転手はとても勇敢で賞賛されるべき》
《もし犯人が凶悪だったら、一歩間違えば運転手が殺されていたかもしれない。警察は犯人がいるかを聞く前に、ハンズフリーを切るように一声かけた方がいい》
などといった書き込みで、無事逮捕されたことを喜んでいた。