「介護施設では、月14万~15万円ほどの費用がかかると思いますが、私の場合は在宅介護で、介護費用は月1万5,000円ほどでした。その代わり365日24時間、母のことは常に頭にある状態。同居する兄や夫の協力がなければ、母の希望どおり、自宅で看取ることはできませんでした」
こう語るのは、今年3月に母のひで子さん(享年92)を亡くし、6年半に及ぶ在宅介護生活をつづった『悔いなし介護』(主婦の友社)を出版したばかりの新田恵利さん(53)。
介護費用の内訳を聞くと--。
【1カ月にかかった介護のお金】
介護用品のレンタル料:3,000~4,000円/月
おむつ代:5,000円/月
デイサービス費:7,000円/月
月の合計:1万5,000~1万6,000円
※いずれも自己負担額
「もともと母は、年金加入期間が足りなかったため、無年金生活。介護前から兄が消耗品や食費を負担。私の家には母や兄が同居していたし、高価な衣料品や入院などのイレギュラーな出費を負担していました」
■バリアフリー工事を自分で行った
ひで子さんが骨粗しょう症による圧迫骨折で歩けなくなり、要介護4と認定されたのは14年秋。その後、認知症も患った。
「すぐに手配したのが、介護ベッド、防水加工されたマットレスカバー、ベッドの上で食事するためのテーブル、車椅子、玄関の段差をなくすためのスロープです。レンタル料は月3,000~4,000円ほどで、母が亡くなるまでレンタルしていました」
おむつは行政から、毎月1パックを無料で支給されたが、それではとても足りず、最低5,000円分くらいは必要だった。
「やる以上はしっかりやりたいので、おむつフィッターの資格を取るために、1泊2日の研修を受けました」
しばらくは週2回の訪問のリハビリと週1回の入浴サービス(1カ月4,000~7,000円ほど、自己負担額、以下同)を利用していたが、症状が落ち着くと、訪問リハビリと入浴サービスをやめ、週2回のデイサービスに。
「デイサービスは、約5年続けました。月に何度かはサボっていたので、1カ月の費用は7,000円ほどでしたね」
ひで子さんの自室は畳なので、車椅子の移動も難しく、リフォームすることにした。
「バリアフリー工事などは、自治体から補助もありますが、私は複雑な申請が苦手なんです。だったら自分でやればいいと、近所のホームセンターに行きました」
畳を外して断熱材を敷き、高さを確保するためにベニヤ板を重ね、タイルカーペットを敷き詰めた。
「材料代は2万5,000円ほどで、工賃はタダ。隙間ができたり、イビツになるのも、“ハンドメイドの味”です(笑)」
亡くなる半年前も、週2回のデイサービスを、訪問看護に切り替えた(入浴サービスは再開)。
さらに車椅子の母が病院などに行く際には、ストレッチャー付きの介護タクシーが1回1万円、亡くなる前の数カ月間は、1回6,000円の訪問医療費用が別途かかったという。
「在宅介護は大変でしたが、母の喜ぶ顔がモチベーションになりました。最期、声にならない声で『ありがとぉ』と言ってくれたことで“後悔のない介護ができた”と実感できました」