2023年1月、「関東東海花の展覧会」にお出ましになった彬子さま /(C)JMPA
グレーのスーツ姿で登壇された三笠宮家の彬子さま。福祉についての講演に会場にいた約70人の市民が耳を傾けていた。
皇室担当記者はこう語る。
「6月10日、宮城県仙台市で『ありのまま生活福祉講座』が開催され、彬子さまも講座の座長として参加されました。コロナ禍の時期をのぞき、毎年開催されており、彬子さまも長年参加されているのですが、今年は講座に関する事後の報道も多く、その反響も大きかったのです。それは講演で、彬子さまが口にされた“あるお言葉”のためであることは間違いありません」
彬子さまが語られたのは亡き父・寬仁親王のお言葉だった。
「父はよく、『皇族というのは国民のなかに自ら入っていって、国民の求めることをするのが仕事だ』と言っておられました」
宮内庁関係者によれば、
「寬仁さまは“ひげの殿下”とも呼ばれ、国民から愛された方です。ときには皇族が避けがちな政治的な問題についても臆せず意見され、生涯を通じて皇族のあり方と向き合っておられました。’12年に薨去した寬仁さまのご意見がいま、ある種の新鮮さと感動をもって人々に受け止められたのは、一部の皇族のあり方について国民が不満を抱いているからにほかなりません。
実際にウェブ上では“(皇嗣家は)批判する国民なんて敵だと思っているし、国民の求めることをする気なんてさらさらない”といったコメントも散見されました。
彬子さまが、新聞社も主催者に名を連ねるイベントで、あえて寬仁さまのお言葉を紹介されたのは、いまの皇嗣家のご姿勢に違和感を抱かれているからだと思われます」
彬子さまはウェブメディアでコラムを連載されている。今年1月に配信された宮中の新年にちなむ食文化を伝える記事のなかで、昭和天皇と弟宮さまたちの関係の深さについてふれられた。
「現在、天皇陛下と秋篠宮さまはお会いする機会が減少しており、宮内庁内でも“なぜ秋篠宮さまはもっと陛下に相談されないのか”という疑問の声が上がっています。彬子さまも憂慮されているそうで、コラムを通じて秋篠宮さまに“もっと陛下とお会いする機会をふやされては”という苦言ともとれるメッセージを発信されたのでしょう」(前出・宮内庁関係者)
静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんはこう語る。
「彬子さまの『国民の求めることをするのが(皇族の)仕事』というご発言は、かなり踏み込んだものです。
秋篠宮家を名指しされたわけではありませんが、一部の国民は秋篠宮家のご公務について必ずしも“国民が求めること”と言い切れないと感じています。そうした国民感情を踏まえて、ご自身のご公務観を述べられたのでしょう」
■女性皇族は公務に励んでも当主にはなれず…
苦言ともとれる彬子さまのご発言。その背景には、秋篠宮家以外の宮家が感じている“不遇感”があると、前出の宮内庁関係者。
「宮邸の規模や支給されている生活費など、同じ宮家でも格差は多々あります。そのなかでも、いちばん大きなものは“家の将来が保証されているかいないか”ということだと思います。
6月4日、三笠宮崇仁親王妃・百合子さまが100歳の誕生日を迎えられました。その際に孫の彬子さまが三笠宮家の代表としてメディアの取材に応じ、百合子さまのご近況について話されていたのです。
彬子さまは各地でご公務に邁進され、さらに三笠宮家の当主としての役割を実質的に担っておられますが、現行の皇室典範では内親王や女王が宮家を継承することはできません。結婚と同時に皇室を離れなくてはならないのです。
いっぽう秋篠宮家には悠仁さまがいらっしゃり、将来は天皇に即位されます。未来が保証されている秋篠宮家に対し、ほかの宮家はいわば断絶の危機にさらされ続けており、皇族としての責務を果たそうとする意志が強い方ほど、焦燥感を覚えているのです」
それにもかかわらず秋篠宮さまは’09年の会見でこう発言されたのだ。
「国費負担という点から見ますと、皇族の数が少ないというのは、私は決して悪いことではないというふうに思います」
前出の宮内庁関係者が続ける。
「ほかの宮家の方々からすれば、“皇族の数を維持する必要はない”というご発言は未来が保証されているゆえの“余裕”ともとらえられたでしょう。
秋篠宮さまは当時の会見で“国費負担の点”ともおっしゃっていましたが、いっぽうで昨年終了した秋篠宮邸の改修工事には30億円以上もかかっています。『ほかの宮家の苦境をかえりみようともせず、国費を使うべきではないと言いながら、多額の税金を使う秋篠宮家は自己中心的』という不満を抱かれているとしても仕方がないとも言えます」
皇室が高齢化し、女性皇族の負担が増えるなか、待遇は改善されず……、そんな状況を打開するためには何が必要なのか。
「まず増えすぎたご公務で、維持すべきものと廃止すべきものの選別が必要だと思います。
また私も長年提唱し続けていますが、女性皇族が結婚された後も公務を担える、女性宮家のような制度の実現が急務です」(前出・小田部さん)
彬子さまら女性皇族方が不遇や不安を感じない環境……、その実現こそが“国民の中に入っていって国民の求める仕事をする”という皇族方の理想のためにも必要に違いない。