1月、佳子さまは「第45回聴覚障害児を育てたお母さんをたたえる会」に出席された /(C)JMPA
100人以上の女性書家が手掛けた華やかな作品の数々を、秋篠宮家の次女・佳子さまは目を輝かせながらご覧になっていた。2月16日、「現代女流書100人展」を鑑賞するため、東京都内の百貨店を訪問された佳子さま。案内役の書家に対して、
「どんなお筆ですか」
「楽しくて見入ってしまいました」
などと話しながら、作品を丁寧にご覧になっていた。
「この展覧会は、女流書家の地位向上を目指して53年前から開かれています。展覧会も、“女性の活躍”がテーマの一つであり、思い入れの強さがご表情にも表れていたように感じました」(皇室担当記者)
国会でLGBTQ+の人々に対する差別などが議論される昨今、ジェンダーや多様性の問題に対して、佳子さまだけでなく皇室全体でも関心が高まっているという。
「天皇陛下が2月上旬にノルウェー議会のガラカーニ議長と会見された際にも、陛下は同国における女性の社会参画についてお聞きになったそうです。
古くから皇室は、“慈悲・慈愛・慈善”という『三つの慈しみ』を持って国民と接することを大切にしてきました。それは今の皇室にも受け継がれ、ご公務やご活動の指針の一つとされています。
両陛下をはじめ皇族のなかでも、『男女格差』という問題に向き合う佳子さまのご姿勢は、このところ強く際立ったものがあると思います」(宮内庁関係者)
佳子さまは昨年8月と10月に、ガールスカウトの関連行事に参加されている。
「10月の行事では、“ジェンダー平等が達成され、誰もがより幅広い人生の選択肢を持てるようになること”と、男女差別に根差した不条理がない社会の実現を願われるお気持ちを述べられました。
じつは佳子さまはこのご意見を大切になさっていて、2020年から同団体のイベントでほとんど同じ言葉で繰り返し発信されています。さらに昨年末、28歳のお誕生日に際して発表されたご近況にも、このメッセージがはっきりと込められていたのです」(前出・皇室担当記者)
“誰もがより幅広い人生の選択肢を持てる”“自らの可能性を最大限生かす道を選べる”……佳子さまが何度も訴えてこられたのは、「皇室の男女格差」に懊悩し続けてこられたからなのかーー。
「現在の皇室典範では、男性皇族と女性皇族の間には埋めようがない格差があります。成人された男性皇族には独立した邸宅での居住が認められる一方で、女性皇族はそうではありません。宮中祭祀のなかにも、最近まで女性皇族の参列が許されないものがあったほどです。
また授業料などの学費についても、原則として男性皇族は公費である『宮廷費』が充てられることになっています。しかし、女性皇族の場合は異なります。内廷の内親王であれば『内廷費』、宮家の女性皇族であれば『皇族費』と、それぞれ私費として支払われてきたのです」(前出・宮内庁関係者)
■皇室制度の“矛盾”に悩み続けられて…
女性皇族は、結婚で皇室を離れるまで両親と同居。学費も“自腹”という格差が、なぜ残っているのか。近現代の皇室制度に詳しい静岡福祉大学名誉教授の小田部雄次さんはこう話す。
「女性が天皇に即位できないなどの皇室における男女差別は、明治期に定められた旧皇室典範によって生まれたといえます。近代化や軍事化を進めるうえで、社会全体が男性優位のシステムに作り上げられ、その象徴として皇室でも“男系男子”による皇位継承が明文化されました。
男性の内廷皇族だった天皇陛下や秋篠宮さまの教育費が公費である宮廷費から支出されたのも、皇室典範で“皇位継承者は公的な存在”とされているからなのです」
皇位を継ぐお立場であるゆえに男性皇族が優先され、女性皇族は不利な生き方を強いられるーー。
佳子さまの姉である眞子さんもそうした現実に直面し、悲観していた。前出の皇室担当記者は、
「どんなにご公務にまい進したとしても、結婚すれば“一般人”となり、皇室を離れなければなりません。そんな報われない現実と格差を抱えた皇室制度の矛盾に、眞子さんも悩んできたようです。
眞子さんの結婚に際して佳子さまは、《これまでもこれからも、自分にとってとても大切な存在》と擁護する『ご感想』を公表されました。男女の格差に姉とご自身が苦しめられてきたこともあり、佳子さまは“ジェンダー平等”を訴え続けておられるのでしょう」
女性皇族が置かれた境遇を変えるため、佳子さまはすでに闘いを始められていてーー。
「来月までに引っ越しを完了する新しい秋篠宮邸へ移ることを拒み、佳子さまはこれまで仮のお住まいとされてきた御仮寓所での生活を続けられるそうです。佳子さまは、“なぜ男性皇族だけ一人暮らしが許されてきたのか”という問題を、身を挺して提起されているようにも感じます」(前出・宮内庁関係者)
孤独に闘われている佳子さまが、社会からの支持を集められない懸念もあるという。
「佳子さまがおっしゃられている“多様性の尊重”といったお考えはとても大切なことです。しかし、経済的な困窮から人生の選択肢が狭まる国民が増えている時代です。衣食住が保障された皇族の佳子さまが掲げるお考えが、困難な立場にある人々からの賛意を得られない可能性はあるでしょう。
さらには“ご自身の人生の選択肢が欲しいだけなのでは”という批判を集めてしまいかねません。いま国民が置かれている困難に心を寄せられ、具体的なご活動を重ねていかなければ、共感する声を広げることは難しいのではないかと思います」(小田部さん)
佳子さまは闘いの果てに、ご自身も「より幅広い人生の選択肢」を勝ち取ることができるのかーー。