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史上最長にして、最強のイギリス君主。2月6日、エリザベス女王は即位70年を迎える。25歳で即位した女王は、イギリス史上最も長く君主の地位に就いていることになる。
10年前の在位60周年の際には、上皇ご夫妻がイギリスでの午餐会に招かれている。
「今年6月にはバッキンガム宮殿でコンサートが開催されるなど、さまざまな祝賀行事が予定されています。コロナ禍でなければ、天皇皇后両陛下がイギリスに招かれたはずですし、ひょっとすると愛子さまもご一緒に訪英されたかもしれません。おそらく今回は、天皇陛下の名前で祝電を送られることになると思われます」(皇室担当記者)
エリザベス女王は、誕生時から君主になることを期待されていたわけではない。伯父のエドワード8世が離婚経験を有するアメリカ人女性のウォリス・シンプソンと結婚するために王位を放棄したため、エリザベスの父・ジョージ6世が国王に。10歳で王位継承権者第1位となり、女王となる運命となったのだ。
「天皇陛下はエリザベス女王をはじめ、英国王室の方々とも何度もお会いしています。雅子さまも外務省職員時代に留学されていましたから、愛子さまはご両親からイギリスという国、そして英国王室についても詳しくお聞きになっているようです」(宮内庁関係者)
陛下はイギリス留学時に、女王の招待でスコットランドのバルモラル城を訪れ、チャールズ皇太子夫妻らとバーベキューやサケ釣りを楽しまれた。そのときのことを「自分で言うのもなんですが、家族の一員に加えてもらったような印象を受けた」と語られている。
「“運命のいたずら”ともいえる経緯で即位したエリザベス女王は、皇位継承問題で将来を左右される愛子さまの境遇と重なるところがあります。両陛下は愛子さまに、国民に尽くす姿勢をエリザベス女王から学んでほしいと思われているのではないでしょうか」(前出・宮内庁関係者)
1953年6月2日に行われた戴冠式で、エリザベス女王は次のようにスピーチした。
「命ある限り、私はこの身を捧げてあなた方の信頼に応えられるよう努めます」
その言葉どおり、エリザベス女王はイギリス国民に尽くしてきた。英国王室に詳しいジャーナリストの多賀幹子さんはこう語る。
「即位70年を迎えるエリザベス女王は、いくつもの戦争や王室スキャンダル、そしてコロナ禍を経験したにもかかわらず、今も国民から絶大なる信頼を得ています。それは、どんなときでも“国民ファースト”を貫いてきたからです。
このコロナ禍でも、先が見えない不安や恐怖に怯えていた国民に対して《We will meet again.(またお会いしましょう)》と、激励のメッセージを送ったことで、国民は高く評価しました。’20年4月、世界的な感染拡大が始まってすぐのことでした。常に国民の声にも耳を傾けていて、元首という公のお立場を強く自覚されています」
■愛子さまの同世代が開く“女王の時代”
愛子さまは高校2年生の夏にもイギリスに短期留学されているが、
「陛下と同じく、イギリスの大学院への留学もお考えかもしれません。そうなれば、エリザベス女王をはじめとする英国王室のメンバーとも親交を深めることになるでしょう」(前出・皇室担当記者)
日本では、皇位継承問題に関する議論が国会で進められることになっている。現在のところ天皇に即位できるのは“男系の男子”に限られているが、
「ヨーロッパで王室を持つ国は7カ国ありますが、イギリスのエリザベス女王やデンマークのマルグレーテ女王に続き、今後は愛子さまの同世代の王女方が次々に即位されていく『女王の時代』を迎えようとしています」(多賀さん)
日本でも、世論調査では女性天皇への賛成派が約8割。愛子さまに期待する声は日に日に大きくなっている。著書に『王室外交物語』(光文社)などがある関東学院大学教授の君塚直隆さんはこう語る。
「日本では女性に皇位継承権がないため、愛子さまが即位されるということに現実味を感じない国民もいるかもしれません。しかし、イギリスでは女性にも王位継承権がありますし、エリザベス女王以外にも、たとえば女王の長女であるアン王女は350以上の団体のパトロンを務めるなど、たいへん活躍しています。すでに世界では男女という性別にかかわらず、国王や王族が国民のために何をするのか、それこそが王室にとっていちばん大事なことになっているのです」
エリザベス女王は「人類の厳しい進化の中に、優しさと気遣いを注いできたのは女性たちです」と、女性たちを勇気づける発言も残している。“女王の教え”を胸に、愛子さまは道なき道を歩み続けるーー。