(写真左:時事通信)
「娘は天国に旅立ってしまいましたが、私の心の中では、ずっと生き続けています。皆さまに支えられて娘は幸せでした」
9月3日、東京・日本武道館で行われた松田聖子(60)の2022年全国コンサートツアーのファイナル公演。黒のドレスに着替えて『ever since』を歌い終わった聖子が深々とお辞儀すると、会場の大勢のファンが涙を流していたという。その場にいた音楽関係者はこう語る。
「この曲は昨年末、急死した愛娘・沙也加さん(享年35)のデビュー曲です。ちょうど20年前、この武道館のステージに娘さんが飛び入り参加して、母娘でこの曲を歌ったんです。
会場には、今年90歳になる母・一子さんの姿もありました。痩せていましたが、杖もなしで歩いていて感慨深そうにされていました」
亡き愛娘と20年ぶりに“共演”した聖子。その数日前、聖子の「永遠のライバル」中森明菜(57)はTwitterを開設し、新たな事務所での再出発を電撃発表した。テレビ局関係者によると、新たな事務所の監査役を務める弁護士から各テレビ局宛てに連絡が入ったと説明する。
「前事務所とは本年8月で契約を解消しているため、今後、過去の明菜の映像を使用する場合、新事務所に連絡するようにという趣旨でした」
新たな個人事務所の代表取締役は明菜本人だった。
「20年間在籍した前事務所の社長とは、一部で交際が報じられたこともありました。今後は明菜さんの意向が強く反映することになるでしょう」(前出・音楽関係者)
慢性化した帯状疱疹などで、表舞台から遠ざかっていた明菜だが、新たに立ち上げたTwitterの文面で、こう綴っていた。
《デビュー40周年として、何らかの活動をと日々体調と向き合ってきておりましたが、まだ万全な体調とは言えません。ゆっくりになってしまうと思いますが、歩き出していきたいと思いますので、どうか見守っていただけると嬉しいです》
■NHKは聖子&明菜と交渉できる「ミスターNHKホール」を責任者に
聖子と明菜。’80年代を代表する2大歌姫のメディア“再始動”の場として、年末の『紅白歌合戦』が最有力視されていると語るのは、音楽プロダクション関係者だ。
「聖子さんは去年、『紅白』出場が決まっていましたが、娘さんの悲報により出場辞退となりました。いっぽうの明菜さんは’14年、ニューヨークから生出演して以来、『紅白』には出場していません。今年、NHKで彼女の過去のライブ放送が軒並み高視聴率を記録しており、8年ぶりの『紅白』出場に大きな期待がかかっています」
当のNHKは全力で2人の交渉にあたっているという。
「昨年の『紅白』の世帯視聴率は34.3%と歴代最低で、打ち切り危機まで報じられるほどでした。今年6月に発表された人事異動では、『SONGS』から『うたコン』に異動した40代後半のチーフプロデューサーのA氏が、今年の『紅白』の事実上の総指揮をとることになりました。
A氏は局内では珍しく音楽畑一筋で『うたコン』を立ち上げた人物。前身の『NHK歌謡コンサート』にも携わっており、聖子さん含め、数多くの大物歌手から絶大な信頼を得ています。今年から『紅白』は改修工事が完了したNHKホールに戻ることもあり、同所を知り尽くした“ミスターNHKホール”A氏が責任者となったわけです」(制作関係者)
8年前に明菜を『紅白』に口説いたのはA氏の当時の上司・B氏だったという。
「出演交渉は難航しましたが、“ニューヨークのレコーディングスタジオから生中継”という絶妙な演出が功を奏し、明菜さんはA氏を信用するようになったそうです」(前出・音楽関係者)
■聖子の『紅白』有力候補曲が『瑠璃色の地球』のワケ
長年、ライバル視されているだけに、聖子と明菜が歌番組で“共演”する機会は、それほど多くはなかった。アイドル時代の2人が出演した音楽番組で共演したミュージシャンはこう語る。
「仲が悪いということは決してなく、むしろお2人は楽屋や舞台裏では笑顔で会話されていましたよ。お互いが、相手の曲を自宅で口ずさむこともある仲だと聞きました。明菜さんは当時、聖子さんの曲を歌詞を見なくとも全部歌えると言っていました。リスペクトしていたんですね。昭和、平成と激動の芸能界を駆け抜けた、よき“戦友”といった間柄でしょう。時代は令和へと移り変わり、“再共演”に関しては、お二方とも強く願っていると思います」
実際、’83年3月17日放送の『ザ・ベストテン』(TBS系)で2人が共演した際、司会の久米宏(78)から聖子について聞かれた明菜は「うちではみんなが大ファンなんです。私、いつもずーっと見とれていたんです」
と即答。その後、久米から「ライバル意識はありますか?」と聞かれた聖子は、
「やっぱり。頑張らなきゃいけませんね」
と、聖子もデビュー間もない明菜の実力を認める発言をしていた。
それから約40年、還暦を迎えた聖子と、再始動した明菜が同じステージで“共演”できるのかーー。
前出の制作関係者は言う。
「最大のポイントは、明菜さんが『紅白』に生放送出演できるまで体調が回復できるか否かでしょう。
映像出演なども含め、多角的に検討していると聞いています。
また、聖子さんが歌う楽曲の有力候補に『瑠璃色の地球』が挙げられているようです。
世界平和のメッセージが込められており、愛娘・沙也加さんとのデュエット経験もある曲。そして明菜さんも’02年にカバーしている楽曲なんです」
明菜と親しい音楽関係者によれば、明菜のモチベーションを上げる“殺し文句”があるという。
「『最近、曲出してないんじゃない?』というと、彼女はやる気を出すんです。長い沈黙を破って再始動を発表したからには、何かやってくれるかもしれません」
聖子&明菜“奇跡の共闘”で今年は音楽史に残る『紅白』となるか。