先日、明治〜昭和初期にかけて活躍した日本画家・神坂雪佳(かみさかせっか)による図案集「海路」を紹介しましたが、
→センスの塊!神坂雪佳による波と水がモチーフの明治期の図案集「海路」が素晴らしい!
神坂雪佳が遺した作品のなかでもとりわけ人気の高い作品集「百々世草(ももよぐさ)」を紹介します。
「百々世草」は明治42年(1909年)〜明治43年(1910年)、雪佳が43〜44歳のころに制作された全三巻からなる木版画集です。収録作品の中には “ユルふわ日本画” として話題になったものもあり、知っている人もいると思います。
先に紹介した「海路」はデザイナー神坂雪佳としての色が強い作風でしたが、「百々世草」は、日本画家としての才能が随所に感じられる作品集と言えるでしょう。
神坂雪佳は琳派の画法に大きな影響を受けており、それがわかる大胆な画面構成で表現された作品も「百々世草」には見られます。「百々世草」は日本のみならず海外でも人気が高く、2001年にはエルメスの雑誌「LE MONDE D`HERMES」の表紙にも採用されています。
風景やモチーフには柔らかい質感がみられ、全体的に愛らしく優しさがにじみ出た風合いになっているかと思います。高畑勲監督の「かぐや姫の物語」のタッチにも似た部分も見られるかと。
「百々世草」は現在、大英博物館が所蔵するものがARC古典籍ポータルデータベースを介して無料でオンライン閲覧できるようになっていますので、是非チェックしてみてください。