第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)が、ついに開幕。1次ラウンドB組の日本は、3月9日、東京ドームで中国を相手に初戦に臨み、8−1で勝利。白星発進を飾った。
午後7時プレイボールだが、試合時間が3時間41分とロングゲームになり、試合は午後11時前まで続いた。それもそのはず、中国の投手陣は初回から四球を連発。日本は8回に “先発全員四死球” という珍記録をマークした。
最終的には16残塁も、9安打17四死球で8−1で中国を降した侍ジャパン。だが、16残塁という結果に、ネットでは、
《いくらなんでも17四球に9安打8得点16残塁は褒められた内容ではありませんね。塁を埋めても中々点が入らずコールドゲームを逃した感じです》
《中国の投手陣はどの投手も全体的にコントロールが定まらずに、こんな四球祭りの試合は見たことがないくらいでした》
などの声もあがった。
中国の場合は、6人のピッチャーを継投させての17四死球だったが、日本のプロ野球界では、過去に1人で16四球を出しながら191球を投げて完投勝利を飾ったピッチャーがいる。1994年7月1日におこなわれた近鉄―西武戦で、西武を相手に投げた野茂英雄だ。
当時、この試合を放送していた『文化放送ライオンズナイター』で近鉄側のベンチレポーターをつとめた上野智広氏は、のちに「web Sportiva」でこう振り返っている。
《毎回ランナーを背負って、「いつ打ち崩されるか」と思っていたらいつの間にか最終回まで投げきってしまった。(中略)
私はこの日、近鉄側のベンチレポーターだったのですが、『近鉄の守備の時間が長いなぁ』と我慢して試合を見るような感じでした。
回を追うごとに、「これは現実なんだろうか」と目の前の光景が信じられなくなっていくんです。なにせ105球がボールで、ストライクの86球より多かったですから(笑)》
結果、野茂は191球を投げ切り、完投勝利。試合は8−3で近鉄の勝利に終わった。球数制限のある今だったら考えられない野茂の豪腕ぶりを示すエピソードだ。
ちなみに、過去のプロ野球での「全員四死球」は、1リーグ制の1938年、名古屋―イーグル戦で名古屋がマークして以来。今回の侍ジャパンの先発全員四死球は、実に85年ぶりの珍事であった。
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