「台湾美女にネットで675万円だまし取られた」有名私大卒ITエンジニアがFX被害告白 トラブルは3年で5倍
「経済的に厳しかったわけではないのですが、今の生活を変えたかったんです」
「2020年末から、こうしたFX詐欺の手口が増えました。海外の軍人などを騙(かた)り、SNSで日本への渡航費用を要求するロマンス詐欺が、コロナ禍でできなくなったためです」
「『お金を引き出すために税金が必要だ』などという話は虚偽で、詐欺であることは明らかでしょう。振込先の口座を凍結し、一部を回収できる場合もありますが、犯人は海外にいると推測でき、多くの場合、資産の回収は困難です」
「年末の旅行の計画はキャンセルしました。今後は消費を抑えつつ、慎ましい生活を送ります。妻は、被害を明かしたときは言葉もないような様子でしたが、今は『元気を出して』と励ましてくれています。頭が上がらないですね」
被害者が告白! “台湾ネット美女”の全手口
<(1)悪夢の始まりは“突然のフォロー”>
8月23日、X(旧Twitter)で「涼子」という台湾出身の30代独身女性からフォローが。登山が共通の趣味で話が弾んだ(左が涼子)。「涼子とは直接会うことはなく、ボイスメッセージが数度届いたほか、アプリで一度、通話しただけです」(船田さん、以下同)
<(2)雑談の端々に「FXで儲けた」>
涼子の誘いで舞台をLINEに移し、2人はやり取りを継続。しかし涼子は、次第に《FXで儲けた》とアピールするようになる。船田さんは《まわりにFXで稼いでいた人がいないので、とても新鮮ですね!》と素直に感心し、FX投資に興味を深めていく
<(3)「10分で130万円」と “お手本” >
恋愛や登山の話をしていた2人だが、9月7日になって涼子が “攻め” に転じる。10分間ほどで約130万円を稼いだという画像を船田さんに送りつけ、実在する大手FX業者である「XMTrading」に入会するよう求めてきた(実際には偽サイトに誘導された)
<(4)なぜか指南役の “おじさん” 登場>
それから涼子は、唐突に “おじさん” なる人物(写真)とのやり取りを送ってきた(右が涼子)。 “おじさん” はハーバード大卒で、ウォール街に勤務しているという。涼子は船田さんを《いい男》だと紹介。「『すごい人がいるもんだ』と、知らない世界を見ているようでした」
<(5)「今の生活を変えたい」と登録>
涼子は2000万円の高級車に乗り、美容室チェーンの経営者の一員だと名乗っていた。かたや船田さんは、連日残業続き。「口座を作るくらいならいいかと、涼子から送られてきた取引所に登録しました。身分証明書の審査もあり、偽サイトだとは思いませんでした」
<(6)涼子が資金を立て替えてくれた!?>
XMの偽サイトは、取引資金100万円を振り込むよう船田さんに要求した。だが、船田さんの妻は取引に反対。それを伝えられた涼子は、船田さんの取引口座に自分の資金を振り込んでみせた。《涙が出そう》と感激する船田さんだったが、送られてきた画面はのちに嘘だとわかる
<(7)見様見まねで取引してみたら……>
涼子の “好意” に感激した船田さん。涼子と同じタイミングで取引すれば《95.5%の収益率》との誘い文句で、スクリーンショットを送り合いながら売買することになった。《大波が来た》(涼子)、《涼子さんは教える天才だ》(船田さん)とやり取りしながら、取引を続けた
<(8)7万円の儲けを出金できたが……>
その結果、初めてのFX取引で約8万円の儲けが出た船田さん。取引所の口座から実際に約7万3000円ぶんを出金すると、口座にすぐ振り込まれた。振り込んできた相手の名義が「ヤマシタ」という個人だった(画像上)ことを、まだ疑問に思わない船田さんだった
<(9)さらに儲かるが220万円の税金が>
涼子を信用した船田さんは、親族から400万円を借り、約280万円を投資。資産は1500万円に増えたが、儲けを出金するために取引所から約220万円の税金、約180万円の手数料を要求されて振り込んだ。なお、本物のXMTradingはLINEでのサポートはしていない
<(10)詐欺と気づいたときはすでに遅し>
それでも資産を引き出せず、疑念を持った船田さんは、10月中旬に涼子に相談。だが同タイミングで、最初の取引で涼子が立て替えた100万円が「マネーロンダリングにあたる」と、取引所から保証金300万円を要求された。涼子は《私たちのミス》と言い残し、2日後に連絡を絶った