11月21日、岸田文雄首相は、総務相を事実上、更迭した寺田稔氏の後任に、松本剛明(たけあき)元外相を起用した。首相は松本氏に対し、地方行財政とデジタル田園都市国家構想、情報通信など、幅広く総務行政の課題を前進させるよう指示。松本氏は、岸田首相と面会したあと「総務省は、国の根幹であり、国民生活の基盤であるたいへん重要な制度を所管しており、重責だが、しっかり働いて負託に応えていきたい」と述べた。
松本氏は当選8回で、麻生派に所属。民主党時代は政調会長、外相を務めた民主党離党組だ。
「2011年3月、在日韓国人から献金を受けていた問題で辞任した前原誠司氏の後任として、外務相に就任しました。前職者の辞任を受けての大臣就任は2度めとなります。
外交・安保の専門家で、民主党が野党に転じたあとの2015年、安保法制に関連して、共産党との選挙協力を模索する民主党に反発して離党。2017年に、同じく兵庫が地盤の渡海紀三朗元文相の仲介で、自民党に入党しました。
政治手腕は高く評価されていましたが、民主党離党組の大臣起用には自民党内で反発もあります。1カ月足らずで3人の閣僚辞任という、異常事態だからこその人事といえます。総務省は、松本氏にとって少々畑違いなのが気になるところです」(政治担当記者)
同じく民主党を離党し、自民党に入党した長島昭久衆院議員は同日、自身のTwitterでお祝いの言葉を述べた。
《嬉しい人事です。民主党時代から何かと面倒みてもらってきましたが、自民党に入党して以来、裏方で一生懸命汗をかく松本剛明さんの姿に多くのことを学ばせてもらいました。ぜひ総務行政のトップとして頑張って欲しい》
細野豪志衆院議員も同じく、《松本剛明氏は3.11の際の外務大臣。一緒に修羅場を乗り越えた政治家だ。きっとやってくれる》と期待を込めた。
SNSでは、民主党離党組の大臣就任に驚きの声が多く上がっている。
《すごい。民主党政権と自公政権の両方で大臣をする議員さんが爆誕》
《民主党政権の閣僚経験者で入閣“返り咲き”は初めてじゃないかな》
《民主党で外務大臣とかいう超重量閣僚やってたのが自民に移籍して再度大臣になってるので、ガチのマジで転生した地下アイドル感ある》
ただ、前参議院議員でジャーナリストの有田芳生氏は、政治ジャーナリストの田崎史郎氏から教えられたという話を、11月12日に自身のTwitteにこう書きこんでいる。
《田崎史郎さんに意外なことを教えられた。「岸田さんは、じつは人事が大好きなんですよ」。その「大好き」な人事がドミノ倒しのようになってきた。判断力に根本的な問題がある》
松本氏の総務相への起用はどう出るか。民主党離党組議員の手腕が試される。
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