ロシア軍は次々とキーウ(キエフ)周辺から撤退を開始している。ロシア軍の去った町からは、拷問を受けたとみられる複数の市民の遺体が発見されるなどしており、プーチン大統領への国際的な非難は一層高まっている。
こうしたロシアの“敗戦”に決断を迫られているのは、中国・習近平国家主席だ。国際ジャーナリストの村上和巳氏が語る。
「中国には、2つの選択肢が残されています。ひとつめは、中国がロシアを非難する国連の安保理決議を棄権したように、今後も引き続き、ロシア側の味方をするというもの。もうひとつは、どこかでロシアを見限るという選択肢です。
中国はアメリカと対抗するために、ロシアと比較的良好な関係です。しかし、実際にはロシアと中国は、国境を接する大国同士。過去に何度も軍事衝突もしており、単純な友好国というわけではありません。習近平は、ヨーロッパ諸国がエネルギー源をロシアに依存していたのにも関わらず、ここまで激しい経済制裁をするとは思っていなかったと思います。
これほど国際社会から見放されたロシアと友好関係を続けていくべきかどうか考えたとき、私は中国がロシアをどこかで見限る可能性のほうが高いと思います。少なくとも、武器や弾薬など、肝心なところでの支援はほとんどやらないでしょう。ロシアが抱える天然ガスや石油の一部を買う程度ではないでしょうか。
さらに言えば、今回のウクライナ侵攻にはじつはロシア国内でも多くの不満が溜まっており、プーチンが失脚する可能性もゼロではありません」
一部の報道では、中国は今秋に台湾への軍事侵攻を予定していたという。だが、この戦略は見直しを迫られている。
「習近平が政権の3期目にはいるタイミングで台湾に侵攻をし、盤石な態勢で挑む予定だったとも言われています。しかし、今回のロシアの苦境をみれば、根本的な戦略の見直しをするしかありません。現代の国際社会において、他国を侵略することの難しさを痛感したはずです」
喉元過ぎれば熱さを忘れる、とならなければよいが……。
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