ウクライナの首都・キーウから完全撤退したロシア軍。現在は、ベラルーシやロシアで補給や軍の再編をおこなっているというが、その後、ウクライナ東部のドンバスでの戦闘に加わる可能性が高く、予断を許さない状況が続いている。
これまで、アメリカ政府やEUはロシアに対して経済制裁を与えてきた。日本政府も、3月1日にはプーチン大統領ら政府関係者6人の資産を凍結しているが、状況は好転しないまま。
そうしたなか、4月6日にアメリカ政府は新たな追加制裁を発表。ロシア最大の金融機関との取り引きを全面的に禁止し、ロシアへの新たな投資も禁じた。さらに、プーチン大統領の娘であるマリア・ウラジミロフナ・ボロンツォワ氏(36)とカテリーナ・ウラジミロフナ・ティホノワ氏(35)も制裁の対象に入った。
『ニューヨーク・タイムズ』の報道によれば、プーチン大統領は、少なくとも12兆円の資産を協力者や友人を通じて隠し持っているとされる。アメリカ政府は、プーチン大統領が家族名義でも資産を隠匿している可能性を踏まえ、娘たちの資産凍結に踏み切ったのだ。
これまで、ほとんど公になることのなかったプーチン大統領の娘たち。いったいどのような人物なのか、国際ジャーナリストは次のように語る。
「今回、制裁を受けることになった2人の娘は、プーチン大統領の元妻(アエロフロートの客室乗務員、2013年に離婚)との間に生まれた子供たちです。姉のマリアさんは1985年生まれ。大学では生物学と医学を専攻しており、現在は、ロシア政府が資金を出資し、プーチン大統領みずから監督しているという遺伝子研究プログラムでリーダーを任されています。発育不全に関する本も出版するなど、“リケジョ” として知られています。
妹のカテリーナさんは、人工知能の専門家として、国防にまつわる仕事をしています。元夫と共同保有する会社の企業価値は2500億円とも言われます。さらに、ダンスとアクロバットの要素を融合した『アクロバット・ロックンロール』の選手として、2013年におこなわれた世界選手権で5位に入賞しました」
エリート街道を突き進むプーチン大統領の娘だが、実は、2人とも日本が大好きだという。
「姉のマリアさんは、2004年に来日したとき、東京ディズニーランドや京都を訪れています。2018年にも再び来日し、長男とともに、東京ディズニーランドや歌舞伎町、鬼怒川温泉などを楽しんだことが明らかになっています。
妹のカテリーナさんは、サンクトペテルブルク大学で日本語を学ぶほど、日本への関心が強いことで知られます。2004年に2回、2005年に2回、さらに2014年にも1回来日したことがあるようです。1回あたり3週間ほど滞在し、東京ディズニーランドや北海道、京都を旅しています。ダンスの『モスクワ支部代表』という肩書きで日本の大学生と交流を図ったこともあります」(前出・国際ジャーナリスト)
プーチン大統領は、2015年の会見で、「娘のことを誇りに思うが、仕事内容も含め、公の場では決して話さない」と明言している。実際に、これまで娘について語ったのは「3カ国語がぺらぺらだ」程度しかない。今回の制裁で、秘密のベールに包まれた家族の内実が明らかになっていくかもしれない。
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