安倍晋三元首相が銃撃され死亡した事件で、警護に落ち度があったのではないかと奈良県警に批判が集中している。
《マジもんの無能やんけ…。奈良県警、大失態とかレベルやないわ、コレ》
《奈良県警、戦後最悪の警備ミスをやらかしたことを責められ続けるんだろうな》
など、SNSには奈良県警への非難が多数みられる。
7月14日放送の『ゴゴスマ』(TBS系)には、元大阪府警で犯罪ジャーナリストの中島正純氏が出演。警備体制を分析したうえで、「奈良県警はまさか銃で襲撃するとは想定していなかった。油断していたと思う。あのような状況では、たとえ1万人の警護員がいても事件は起こったと思う。奈良県警は責任感が欠如していたと言わざるを得ない」とまで言い切った。
そんな最中の7月15日、奈良県警が「紛失した」と発表していた実弾が実際にはなくなっていなかったことが明るみになった。
2022年1月、奈良西署の拳銃庫で保管していた実弾5発を紛失したと発表。署員を取り調べるなどしたが、その後の内部調査で紛失自体が “勘違い” だったことが判明したという。
奈良県警とはいったいどんな組織なのか。
2013年の『月刊宝島』に「全国警察ワーストランキング」という記事がある。2012年の各県警の懲戒処分件数と警察官数を比率でランキング化したもので、停職や減給など12件の処分があった奈良県警は、47都道府県でワースト1位となっているのだ。
この記事にも関わった警察ジャーナリストの寺澤有氏に話を聞いた。
「奈良県警と聞いて真っ先に思い出すのは、2001年に発覚した『奈良佐川急便事件』です。
奈良県警の警視が奈良佐川急便から約2300万円の賄賂を受け取り、違反のもみ消しなどの便宜を図っていたものですが、捜査の段階でこの警視が焼身自殺してしまったため、うやむやになってしまいました。
汚職には自殺した警視だけでなく、多くの警官が関わっていました。多数の架空口座が見つかり、そこから警官に現金が渡っていたり、なかには高級車をもらったりした署長もいました。
何億円というお金が動いていたのは間違いなく、組織ぐるみの汚職事件だったのです。
しかし、それだけの大事件にもかかわらず、警視の自殺によって、摘発されたのはほんの一部に終わりました。多くの汚職警官が残っていたため、その後も奈良県警がからんだ汚職事件はたびたび起きています。
2009年には天川村の公共工事をめぐる汚職事件で警部と警部補が逮捕されるなど、もはや警察の体をなしていないと言われても仕方がないほど、汚職や不祥事が多いのが奈良県警という組織です。
そのような組織に、今更、警護体制がどうであったとか言うこと自体が無意味ではないかと思います」
警察庁は銃撃事件の警備体制を検証するチームを奈良県警に派遣しているが、それ以前に組織としての問題を徹底的に洗い出す必要があるのではないか――。
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