経済専門チャンネル「日経CNBC」が、個人投資家を対象に調査した岸田政権の支持率が話題になっている。2月8日に公表された調査結果では、「支持する」と答えたのがわずか3.0%で、95.7%が「支持しない」、1.3%が「分からない・どちらでもない」だった。
岸田首相の支持率は、たとえば1月の調査で66.9%(FNN)と、比較的高止まりしてきた。しかし、投資家からは「まったく支持できない」と判断されたことになる。
いったいなぜ、これほどの惨状となったのか。経済ジャーナリストが理由を明かす。
「岸田内閣が昨年10月に発足してから、株価はずっと下落傾向にあります。昨年9月の時点で、東証一部の時価総額はおよそ778兆円ありました。しかし、1月末には約679兆円にまで落ち込んでしまった。たった4カ月で100兆円が吹っ飛んだことで、ネットでは『岸田ショック』なる言葉も誕生しました。
岸田ショックの原因はいくつもありますが、『金融所得課税の強化』と『自社株買い制限』の2つが、投資家から嫌われた大きな理由でしょう。
金融所得課税は、株の配当金や譲渡益にかかる税金で、いまは一律20%になっています。これが上がるとなると、株を持つメリットが減ってしまう。株をたくさん持っている富裕層には特に打撃となります。
自社株買いは、企業が自社の株を買うことです。市場に出回る株数が減るわけですから、株価が高くなりやすい。要は株主に対する利益還元策のひとつですが、これに制限がかけられると、やはり投資家にはマイナスとなります」
このほか、新型コロナウイルスによる「コロナ鎖国」にも批判が集まる。現在、日本は外国人の大幅な入国制限を実施しているが、この結果、ドイツの電機メーカー「シーメンス」が日本への投資を一部保留するなど、大きな影響が出始めている。
また、ガソリンをはじめ、さまざまな物価が高騰したり、所得格差が拡大するなど、日本経済をめぐるマイナスの話題が続いていることも、岸田批判につながっている。
番組で公表された「支持率3%」は、母数が不明なことや、異例の過熱ぶりだったこともあり、割り引いて判断する必要はあるが、SNSでは、この結果を受けて岸田首相への批判の声が相次いでいる。
《低く出るとは思ったけど支持率3%ってwww 対象が偏ってる事はあるにしても予想越えすぎ》
《だめだこりゃ 岸田ショックの日経大暴落で資産失った国民可哀想です》
《この結果で支持した3%が最近儲けたのか儲けてないのかが気になる》
「岸田首相は、『新しい資本主義』として、『経済成長の果実をしっかり分配することが重要だ』と語っています。
市場が強くなりすぎたことで公平な分配がおこなわれず、格差や貧困が拡大したり、中・長期的な投資が減ったり、分厚い中間層が衰退したことを問題視しているのです。
必然的に株式市場に厳しい対応を取ることになりますが、さすがに100兆円が消失したとなれば、大クレームになるのも致し方ないでしょう。実際問題、株価が下落すれば、年金にも悪影響が出るわけですから」(前出・経済ジャーナリスト)
投資家たちからの冷たい視線にさらされる岸田首相。「新しい資本主義」に向けた舵取りは難航しているようだ。
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