どうした、反町!――反町隆史主演で2月1日(木)に第3話が放送されたサバイバル医療ミステリー『グレイトギフト』(テレビ朝日系)。
世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話が9.8%と好スタートを切っていたが、第2話7.6%、第3話6.9%と失速し続けている。
ストーリーは憎たらしいキャラが次々と殺されたり、怪しかったキャラがすぐに裏の顔を現したりと、スピーディに展開して真相がそこそこ気になるものの、いまいち引き込まれない。
それは、ひとえに反町が演じる主人公の魅力のなさが原因ではないか。
■ミステリー作品として非常にうまくできているが…
反町が演じるのは大学病院に勤めるうだつの上がらない病理医・藤巻達臣。
病院で元総理大臣が不審な死を遂げ、その遺体を解剖した藤巻が完全犯罪をも可能にしてしまう殺人球菌「ギフト」を発見。「ギフト」は体内に入った人物を死に至らしめ、しばらくすると消滅するという性質があり、死因は急性心不全と診断されてしまう。
この「ギフト」をめぐって起こる連続殺人や権力争いに、藤巻が巻き込まれていく物語。
第1話で、一見すると善人のような心臓外科医がさっそく黒い本性を現し、第2話でカネに目がくらんで脅迫してきた同僚病理医が「ギフト」で殺されるなど、ハラハラ展開の連続。
そもそも病院内に「ギフト」を持ち込んで、連続殺人をはじめた真犯人は誰なのかという大きな謎も未解明で、ミステリー作品として非常にうまくできている。
……にもかかわらず、手放しで「おもしろい!」と大絶賛できないのだ。
それは、今のところ主人公の振る舞いが情けなく、悪徳キャラに振り回されすぎていて、ヒロイックな描写がほとんどないからだ。
反町演じる藤巻は、コミュ力が低めの寡黙なタイプで、優柔不断なため病院内では周囲の職員から見下されがちなキャラクター。
そんな藤巻、重い病を抱えて入院中の妻の命を助けるためとは言え、悪役の指示に従い「ギフト」の存在を警察に隠したり、あろうことか「ギフト」を培養して殺人に悪用されたりと、罪悪感を抱きながらもどんどん後戻りできなくなっていく。
内に熱い正義感を秘めていることはわかるのだが、少なくても第3話までは悪役に騙され続け、便利に利用されるだけで、いいところナシ。
要するに、せっかく反町隆史という華のあるスター俳優を起用しているのに、主人公が全然かっこよくないのである。
■従来どおりの反町のよさを見せてほしい
1997年の『ビーチボーイズ』(フジテレビ系)、1998年の『GTO』(フジテレビ系)などの代表作を持ち、2015年から7年間にわたって『相棒』シリーズ(テレビ朝日系)で “相棒” を務めた反町。
熱くてヤンチャなイメージや、クールでスマートなイメージがあるが、いずれにしても自信満々でかっこいいモテ男の印象が強いだろう。
ところが、今回反町が演じている主人公は、従来のイメージとは真逆な印象。自信なさげにオドオドしていて情けないキャラクターは、好意的に解釈すれば反町隆史の新境地と言えるだろう。
だが、シンプルな感想として、今のところあまり魅力的なキャラクターに見えないし、なにより反町のよさを消してしまっている。 おそらく、中盤以降で藤巻が腹をくくって漢気を見せ、悪役たちをぎゃふんと言わせる展開になるのだろう。
特に、第4話からは2番手キャストの波瑠演じる検査技師が仲間になり、バディ的なポジションになってくれそうなので、ここから藤巻たちの逆襲が始まるのかもしれない。
本作は2022年に『マイファミリー』(TBS系)、2023年に『ラストマン-全盲の捜査官-』(TBS系)を生み出し、近年の「日曜劇場」のミステリーものに欠かせないヒットメーカーとなった人気脚本家・黒岩勉氏によるオリジナル作品だけに、ストーリーへの期待値も高い。
しかし――、これから主人公がかっこよくなり、カタルシスたっぷりのストーリーになっていくとしても、第3話までで視聴者がどんどん離れてしまっているので、“時すでに遅し” となってしまう可能性も。
今夜放送の第4話で、どれだけ視聴者が帰ってきてくれるかも注目である。
堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』にて恋愛コラムを連載中。ほかに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿
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