2025年大阪・関西万博をめぐり、大阪府の吉村洋文知事が『羽鳥慎一モーニングショー』(テレビ朝日系)でコメンテーターをつとめる、元テレビ朝日社員の玉川徹氏を“出禁”と発言した動画がSNSで拡散。物議を醸している。
問題の動画は、3月23日に大阪府茨木市で開催された「維新タウンミーティングin茨木」。
横山英幸大阪市長と対談するなかで吉村知事は、約350億円の建設費用がかかるとされる万博の木造リングについて「絶対、これは何らかの形で残してほしいというくらいのものができている」と絶賛。そのうえで、「いま、批判している、名前言えませんけども『モーニングショー』の玉川徹。いま、批判するのはいいけど、(万博会場に)入れさせんとこうと思って。『入れさせてくれ』『見たい』といっても、もうモーニングショーは禁止。玉川徹禁止、と言うたろうかなと思う」と発言。隣に座る横山市長は爆笑し、会場からは笑いと拍手が起きていた。
吉村知事が、万博に玉川氏を“出禁”と発言した動画はSNSで拡散。批判的な声が殺到している。
《批判する人に対し、万博を見せないだそうです。何様のつもりでしょう。そして、とんでもない言論弾圧です》
《勝手に誘致して莫大な市民の財産を際限なく使い込みながら、批判者をシャットアウトしようとするなど論外》
《個人を出禁にする権限もないし、そこまでいうなら 赤字の責任きっちり取れよ》
4月1日、吉村知事は囲み会見で、玉川氏を“出禁”とする発言は事実かと問われ「はい。維新の集会で言いました」と認めたうえで、こう弁明した。
「出禁にする権限があったら絶対に言ってはならないし、僕も言いません。でも(その権限が)まったくないことが明らかななかで、もう少し、公平な報道をお願いしたいという政治的な主張です。もう少し、賛否両論を取り上げてもいいのではないか」
発言の撤回は認めず、日本国際博覧会協会(万博協会)の役員(副会長)をつとめている点について問われても、「政治的な集会の場で、政治家としての発言であり、一定程度、自由にさせてもらいたいと思います」と述べた。
吉村知事はこう言うものの、万博をめぐる批判は止みそうもない。
3月29日、経済産業省は会場建設費や運営費の上昇などを背景に、経済波及効果がおよそ2兆9000億円と、前回2018年の試算から4000億円程度、上振れするという試算を明らかにした。
同日、吉村知事は自身のXにこう書きこんだ。
《2350億円の会場建設費に対して、建設投資、運営、来場者消費等、経済効果は2兆9千億円。国試算。民間シンクタンク試算の経済効果は2兆7千億円から3兆3千億円。大きな経済効果は明白。経済的意義だけでなく、150ヵ国の国々が参加する万博の社会的意義を大切にしていく。》
だが、経済波及効果が4000億円上振れした理由が、会場建設費や運営費の上昇にあることから、SNSでは批判的な声が巻き起こっている。
《は?これ、建設会社に払う金が増えたって事だけじゃん?おかしな試算すんなよ》
《赤字が増える程、経済効果が増える、お手盛り評価…》
《「経済波及効果」という言葉は一見、万博のおかげで日本の経済がよくなるかのように聞こえるんだけど、実際は万博関連企業 (維新のファミリー企業) が利権に与るだけで、一般庶民には特に良いことはない。それどころか税金をジャブジャブ投入されていい迷惑》
吉村知事が万博の「賛」を強調すればするほど、強まる「否」の声。万博をめぐる賛否はいつまでもかみ合いそうにない。
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