この数年で、座りにくい公園のベンチが増えたと感じている人は多いのではないだろうか。東京都内でも、いわゆる「排除ベンチ」などと呼ばれる、横になれないようにデザインされたベンチを、やたらと見かけるようになった。
そんななか、3月18日、Xに「@tsukiji14」さんのあげたポストが、話題になっている。@tsukiji14さんは、アーチ状にデザインされた公園のベンチの写真とともに、
《このあいだ新宿区の公園行ったらベンチこれだった。新種の意地悪ベンチ。こんなのよく考えたな?笑 完全に嫌がらせの頓知比べみたいになってる。年寄りとか頭からひっくり返るんじゃないかなー、これ》
と投稿。このポストには多くの共感が寄せられ、277万回以上のインプレッションを記録。コメント欄には、
《横になって寝させねえという意思ばかりが突出している「排除デザイン」ですね。行政の仕事ってこうやって排除することじゃなくて、そんなところで横になって寝なきゃなんない人をなくすこことなんじゃないでしょうか》
《役人の考えるホームレス対策 ホームレスを見えない所へ追い払う 見えなくする事が対策なのか違うだろ こう言うデザインを「排除アート」って言われるんだけどこんなもんアートじゃねぇよ》
《だったら始めからベンチなる物、設置しなければいいじゃない。此れではお年寄りも幼子もほんの少しも、腰掛けられない。悪意あるこの所業は誰の発案ですか?》
など、「行政の悪意」といわれても仕方のないベンチの形状に、批判の声が殺到した。
本誌は調査の結果、この公園を突き止めることができた。住宅街のなかにひっそりと存在する公園の名は、「新宿区立さつき児童遊園」。たしかに、アーチ状のベンチが3台あることが確認できた。実際に記者が横たわってみたところ、横たわることはできたものの、寝返りでも打とうものなら、一瞬で転げ落ちることは間違いないであろうことを確信した。
こうした形状以外にも、座面に仕切りが付けられたベンチなど、いわゆる「排除ベンチ」がいたるところで目立つようになっているが、過去にはこれら排除ベンチが、問題となる事例も起こっている。
「とくに話題になったのが、2020年11月16日に、渋谷区のバス停で、ホームレスの64歳の女性が頭を殴られ、殺害された事件です。このときに殺害された女性が夜を過ごしたベンチは、仕切りのあるベンチだったため、女性は寝そべることができず、座ったままだったことが報じられました。
また、神奈川県平塚市では、真逆のケースとして、2023年7月、ベンチ座面の仕切りが取り外されるケースも。市民の声を受けた江口友子市議の働きかけによるものです。市議になる前から野宿者支援に取り組んでいたという江口市議は、東京新聞の取材に『当時から意地悪だと感じていたが、やめさせることはできなかった。今回が初めての成功体験です』と語っていました」(週刊誌記者)
排除ベンチに対してSNSに寄せられた、
《結局誰にも快適じゃないものになってますなー。ソフトなディストピア》
そんな声を、行政はどう聞くのだろうか?
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