7月4日20時半ごろ、埼玉県川口市でトルコ国籍の男性同士でトラブルが起き、刃物で切りつけられた同国籍の36歳男性が、重傷を負って病院に搬送された。事件現場では、複数の外国人同士で乱闘が起こっていたという。この事件で埼玉県警は5日、同国籍の解体工、バリバイ・メンデレス容疑者を殺人未遂の容疑で逮捕している。
事件後には、被害男性らが搬送された市内の病院に、約100人の関係者らが集まったという。その際、暴行や公務執行妨害の容疑で、トルコ国籍の2人が逮捕される騒ぎとなった。
「外がうるさいし、外国人がたくさんいて、怖くて外に出ることもできませんでしたよ。動画も撮らず、家の中で震えていました。警察が来てもずっと騒がしくて、夜もなかなか寝つけませんでした」
そう語るのは、事件現場近くの住民だ。一方、現場付近で事件を目撃したという別の住民が、乱闘騒ぎの一部始終を語った。
「最初に、ドーンと車が衝突した音がしたんです。びっくりして見に行くと、そのときは、2台の車しかありませんでした。事件現場となった駐車場に、律儀にそろって駐車されていたので、一瞬、ホッとしたのですが……。
でも、額から血を流している男性が見えたんです。その男と、おそらく彼のものとみられる車を、誰かが白い棒のようなもので何度も殴っていました。その状況を見て、ただごとじゃないと、近隣の人が何人も警察に通報したのだと思います」
しかし、事態はこれだけに収まらなかった。“通報”したのは、警察だけではなかったからだ。
「被害者も加害者も、誰かに電話をかけていました。仲間を呼んでいたんでしょう。警察よりも早く、ものの数分で外国籍の人たちが何人も駆けつけてきて。
あまりにも人数が多くて、どれくらいいたのかもよくわかりませんでしたが、その時点で20~30人をゆうに超える外国人が現場にいました。まさに乱闘状態ですよ。まさか、電話1本であそこまで仲間が駆けつけるとは思いませんでした」
その後、しばらくすると、警察が到着して彼らを仲裁。現場は一時、通行止めとなり、救急車で被害者が搬送されたという。
2023年7月1日時点で約4万人の外国人が住んでおり、「日本一外国人が住む町」ともいわれる川口市。取材をしていると「コンビニで、10人ほどのトルコ人がたむろしているところをよく見かける」といった証言も多く聞かれ、地域にとって外国人は身近な存在のようだ。
実際、川口市に住む同国籍の人の間では、グループラインがいくつかできているというのは、市内のトルコ人女性だ。彼女が参加するグループには、事件後、すぐに情報がまわったという。
「今回の事件は、家族がらみのトラブルだと聞きました。トルコ人女性の婚約者と、女性の父親との間でもめごとが起きたのが発端だと聞いています。
そういう話が、事件現場からかなり離れた私のところにも届いてくるんです。今回、起きた乱闘の様子を写した画像が、すでにグループラインでは多数出回っています」
約100人を巻き込む大騒動となったこの事件だが、「事件と人種や国籍は関係ない」と強く語るのは、市内で青果店を営む日本人女性だ。
「トルコ人のお客さんとも、10年以上のつき合いがあります。初めのころは、10人ほどのグループで店内を物色されて、不安に思うこともありましたが、いまではもう打ち解けています。彼らとは信頼があります。トルコ人の常連さんも多くいますが、自分の店の常連さんは絶対にそんな事件は起こしませんよ」
逃走した犯人の逮捕や、事件の背景の解明――いまだ不透明な部分が多いこの事件。住民が安心して暮らせるよう、解明が待たれる。
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