田島 亮、遅刻騒動で失った仕事…それでも辞められなかった俳優業「演じることの楽しさが、本能に…」
「役者デビューしてからもこの店で週に2回働いてました。僕は使えないスタッフで、グラスや皿をよく割ってました。当時のバイトの同期が、今の店長です。応援し合った仲で、(田島が)厳しい時期も支えていただいたんです」
「『芸人になりたい』と父に告げると『芸人は特別な人がなるもの。お前は向いてない』と完全否定されました」
「父親の作品を見て育ったので、作り手になりたいという気持ちはありました。父についていったドラマの撮影現場で役者に興味を持ち、養成所に入りました」
「当時、自分は『演技力でてっぺんをとる』と思っていましたが、全然ダメでした。共演者の岡田将生さんが本当に演技がうまくて。自分ができない、肩の力を抜いた自然体の芝居を、年下の高校生なのにできる凄みもありました」
「『ここが凄い』みたいな部分を盗んで自分を高めようとしていたんです。蜷川幸雄さんの舞台のときは藤原竜也さんの集中力と台詞術とか。小栗旬さんの芝居もマネをしてました」
「芝居の努力の方向を間違っていたんです。自分の演技力を高めるための努力のはずが、いつの間にか『売れる役者になりたい。蜷川さんの舞台や連ドラに出る』ためのものに変わっていて。自分の演技にもスランプを感じていました」
「ショックが大きすぎて、あのときの記憶があまり鮮明じゃないんです。あのことは一生背負い続けます」
「遅刻した舞台で共演した中嶋しゅうさんに『一旦、役者をやめます』と伝えました。すると『何、言ってんだ。苦手や欠点を克服するには芝居を続けるしかない。それを一生続けるのが役者だ』と言われ、自分の中に炎が灯りました」
「お盆休み前の打ち上げで、(会社の)スタッフ5人を前に1時間半の芝居をしました。
「藤井さんに『バベルで映画を撮ってみるか』と声をかけてもらったんです。それで2020年まで所属しました。自主映画の監督のほか、撮影、編集、香盤表作り、弁当の手配まですべてやりました」
「2020年、舞台で大谷亮介さん、神野三鈴さんと共演しました。それまでセンスや才能で勝てないと思っても、努力を重ねれば勝てると思っていたので挫折感を味わうことがなかったんです。でも、このお二方には努力の面でも絶対に勝てないと感じたんです。発声などの地道なトレーニングや、自費で海外のワークショップを受けていたり。自分も役者として努力していますと言うのが恥ずかしいくらい圧倒的な差を感じました。それで舞台役者でてっぺんをとることをあきらめました」
「自分でないものを演じるのって本当におもしろい。演技ワークショップの講師をしているんですが、『演技』って人間の本能にあるのかと思うくらい、シニアの方も子供も楽しそうに演じるんです。一度始めたら役者はやめられないと思います。だから、てっぺんは無理でも、演じる場所を見つけるため模索しました。自分のルックスは使える。役の振り幅もある。映像制作の裏側を知っている。この3つを武器にしようと思ったんです」
「映像で演じる機会を増やしたいと、オーディションサイトで学生の自主映画を見つけては手弁当で参加しました」
「もっと演じたいんです。オファーを待っているだけではなく、今年からYouTubeチャンネルで演技を毎日やり、作品を公開しています。週に3日は自主作品の撮影。寝る時間以外は演技のことだけ考える生活が、楽しいです」
「役者としての自分はとにかく頑張るだけ。制作者としては、凄い才能が世に出る手助けをしたい。
たじまりょう
1987年8月27日生まれ 神奈川県出身 2007年、ドラマ『硫黄島~戦場の郵便配達~』(フジテレビ)でデビュー。『花ざかりの君たちへ ~イケメンパラダイス~』(2007年、フジテレビ)で連ドラ初出演。ドラマ、舞台を中心に活動したが、2013年に俳優活動を休業。2021年『アバランチ』(カンテレ)で本格的に復帰。近作にドラマ『インフォーマ』(2023年、カンテレ)、映画『ヴィレッジ』(2023年)がある。Netflixドラマ『御手洗家、炎上する』が7月13日より配信される
【NEWZEA PLATFORM】
住所/東京都渋谷区神山町42-3 3F・4F
営業時間/ランチ12:00~15:00、ディナー18:00~23:30
定休日/日曜日
写真・野澤亘伸
ヘアメイク・荒川瑠美