いまや高級ブドウの代名詞的存在になった「シャインマスカット」。33年の開発期間をかけ、2006年に日本で誕生した品種だが、種苗が中国へ流出したことで、少なくとも年間100億円の損失が生じていることが、農水省の試算で明らかになった。
シャインマスカットは2016年ごろから海外に流出。中国での栽培面積は日本の29倍にもなる。仮に中国の生産者がシャインマスカットの種苗を正規に購入していれば、品種を開発した日本は許諾料として年間約100億円を受け取れることになる。しかし、無断流出のため、丸々損している状況だ。
中国だけではない。シャインマスカットは韓国でも栽培され、大人気となっている。しかも、中国も韓国も国内消費のみならず、海外に輸出して稼ぎまくっているのだ。
しかし、これは違法ではないのだという。
「新品種として、海外での権利を保護するには登録が必要ですが、シャインマスカットは開発当時に輸出を想定しておらず、申請の期限が過ぎてしまったのです。なんともお粗末な話ですが、中韓での栽培は合法なんです。
そして、流出したのはシャインマスカットだけではありません。イチゴ、モモ、サクランボ、サツマイモなど多くの日本品種が流出しており、損失は数千億円になるともいわれます」(全国紙記者)
シャインマスカットの海外流出のニュースは大きな注目を集め、
ネット上でも怒りの声が多数飛び交っている。
《長い年月をかけて一生懸命研究開発した方々の努力の結晶が、一瞬で水の泡になってしまうと何とも腹立たしい気持ちになります》
《シャインマスカットだけに在らず いちごもじゃん 完全に農水省の怠慢》
さらに、こんなツイートも。
《そういえばツイートで種苗法反対してた女優がいましたよねぇ…柴咲コウなんだけど》
《柴咲コウとそれに乗せられて、種苗法反対した人、見てます?》
女優・柴咲コウへの批判も相次いでいるのだが、いったいどういうことか。
「農水省は、種苗の海外流出を防ぎ、知的財産を守るため、2020年12月に改正種苗法を成立させました。
具体的には、品種の開発者が種苗を輸出する国や地域を指定できるようなりました。これに違反して故意に持ち出した場合、刑事罰や損害賠償の対象になります。
そしてもうひとつ、種苗を買った農家が、収穫物から種苗を採って次の栽培に使う場合(自家採種)、品種開発者の許諾や使用料が必要になったのです」(同)
実は、この法律が改正されるとき、大きな話題を呼んだのが、柴咲コウのツイートだった。2020年4月、柴咲は何回かに分けて、こんなツイートをしている。
《皆さん、「種子法」「種苗法」をご存知ですか? 新型コロナの水面下で、「種苗法」改正が行われようとしています。自家採取禁止。このままでは日本の農家さんが窮地に立たされてしまいます。これは、他人事ではありません。自分たちの食卓に直結することです》
種を自由に再利用できないことが、農家の負担になると主張したのだが、このツイートをきっかけにさまざまな議論が沸き起こり、柴咲への強い批判も起きた。そして、その当時の批判が、今回、蒸し返されているわけだ。
柴咲は、数年前に北海道に移住し、農業に挑戦している。関心が大きかったことから意思表示したのだろうが、結果的に批判を受けて当該ツイートを削除する事態にもなった。
とはいえ、柴咲のツイートで議論が深まったのは間違いない。いまさら話が蒸し返されるのは、ちょっと気の毒かもしれない。
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