残念ながらネブラスカ大はバスケットボール男子全米大学体育協会(NCAA)のトーナメント1回戦を突破することはできなかったが、富永啓生は大きなインパクトを与えて、大学のバスケ人生に幕を下ろした。
2024年3月23日、ネブラスカ大はテキサスA&M大学と対戦し、83-98で敗れた。だが、富永はNCAAトーナメント初参戦の硬さは見せず、29分間の出場で21得点、2リバウンド、1アシスト、1ブロック。代名詞となる3Pも11本中5本を決めた。
今季の富永の活躍は、特筆ものだった。強豪ネブラスカ大のリーダーとして、自身初のNCAAトーナメント出場を果たした。その活躍が認められ、同年4月4日にはNCAAの3Pコンテストに出場し、圧巻のパフォーマンスを見せて優勝。“和製(スティフィン)カリー”の、面目躍如といったところ。本家カリーからもSNSでコメントが届くなど、米国での注目も高まっている。
6日にはNCAA1部のオールスターゲームにウエスト代表として選出され、得意の3Pを含む9得点で、チームの勝利に貢献している。
試合後富永は、アメリカでの大学生活を振り返って「もちろん大変なことはたくさんありました。語学のことだったり、試合になかなか出られなかったこともあったんですが、そういうことを乗り越えられたからこそ成長できたと思います」と振り返った。
次の目標となるNBAについては「もちろんNBA選手になることがいちばんの目標なので頑張っていきたい。パリ五輪もあるので1日1日レベルアップしていきたい」と意気込んだ。
パリ五輪を前に、6月27日、28日の2日間でNBAドラフト会議が行われる。全30球団、2順めまでしか指名できず、わずか60人の指名しかできない狭き門だ。その60人のなかに富永は入ることができるのか。
「富永は身長188cmと、190cmを超えるNBA選手の平均身長から比べると小柄な部類に入ります。ただ、誰にも真似できない3Pの決定力がある。これは大きな武器になります。ドラフト指名は十分ありうることだと思っています」(バスケットライター)
また、ここに来て富永より注目されているのが両親である。母・ひとみさんは元実業団でポイントガードとして活躍した選手。父・啓之氏にいたっては身長211cmと日本人では珍しい大型センターで、1998年世界選手権で活躍した元日本代表選手でもあるのだ。息子の身長より23cmも大きく、息子以上に目立っているのだ。
両親を継ぎ、1981年の岡山恭崇氏(入団拒否)、2019年の八村塁に次ぎ、日本人選手3人めのドラフト指名選手となれるか。
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