執行猶予満了直後の2020年7月に公開されたとんねるず・石橋貴明のYouTube動画で、清原和博(56)は逮捕後3年以上、家族と離別したことを思い返すように「(今、ときめく瞬間は)息子のバッティングを見ているときですね」と、胸中を明かしていた。
3年がたち、自身がスターとして君臨した “夏の甲子園” でも、その瞬間を噛み締めただろう。
第105回全国高校野球選手権大会で、慶應義塾高校(神奈川)の清原勝児(かつじ)選手(18)が、再び甲子園の土を踏んだ。
“春のセンバツ” で甲子園初登場、初ヒットを放った勝児選手。そのとき清原は、次男の姿を見守り、大号泣したと明かしていた。あれから半年、今夏は県大会から応援に駆けつけ、「エンジョイ・ベースボール」を合言葉に快進撃を続ける慶應高校のように、にこやかな表情で清原はバックネット裏から声援を送っていた。
現地取材記者はこう話す。
「現役時代より、さらに巨漢になったし、慶應の得点の際には『ヨッシャー』と大きな声を出すなど、オーバーリアクション気味なので、とにかく目立っていますよ」
8月19日、沖縄尚学(沖縄)との準々決勝では、慶應が逆転を狙う6回表にそのときが来た。毎回、大歓声が起こる勝児選手だが、この日「代打、清原君」とコールされると、甲子園はこれまで以上に沸いた。
清原は2023年3月に逝去した父の「遺髪」を手に、祈るように見つめる。フルカウントから積極的に振った一打が凡退に終わると、清原は今まで見せたことがない悔しそうな表情に。
だが、慶應は続く打者から四球を挟んで6連打で一挙6点を奪って逆転。父の思いが届いたのか、勝児選手の打席から試合展開は一変した。
「清原はもともと勝児選手に対して『いい素質を持っている』と、目を細めていたんです。勝児選手も中学時代は、全国制覇の経験があるチームでプレーしていた。
しかし、スランプに陥り、伸び悩んでいた時期に、自身が逮捕されたことでアドバイスできなかったことを清原は『力になれなかった』と、非常に悔やんでいるんです。今の熱のこもった応援は、彼なりの罪滅ぼしなんです」(スポーツ紙デスク)
自らは “日本一上下関係が厳しい” と恐れられたPL学園野球部で、二度の全国制覇を飾った清原。 “脱坊主” の最右翼でもある慶應は、上下関係も厳しくないという。
「真逆の校風ですが監督のやり方にすべてまかせている。次男への直接指導もグッとこらえて、電話やLINEでひと言、ふた言のアドバイスに留めているそうです」(同前)
留年した勝児選手は来年、公式戦に出場することができない。卒業までの “空白1年” で、父がより頼もしい存在になるはずだ。
写真・馬詰雅浩
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