「今は自信しかない――」
キャンプイン前の2022年1月、本誌の直撃取材にこう宣言した読売ジャイアンツの中田翔(33)が再び苦しんでいる。
開幕はスタメンで迎えるなど、存在感を示していた中田だったが、成績は徐々に下降線を辿っていった。出場23試合で打率.188、2本塁打の成績で迎えた4月22日には、ついに1軍出場選手登録を抹消され、原辰徳監督(63)にファーム行きを命じられた。
しかし、日ハムに在籍していた昨季途中の暴行事件を経て、選手生命を懸けて臨んだ今シーズン。中田はめげずに、ファームの若手選手とともに汗を流していた。
ファームでは、4月28日のロッテ戦で3ラン本塁打、4月29日の日ハム戦では2打席連続本塁打(降雨による試合不成立のため記録上は残らない)、4月30日の日ハム戦でも先制2ラン本塁打を放った。5月3日にもオリックス戦で防球ネット直撃の本塁打を放ち、格の違いを見せつけている。
だが、原監督は「(本塁打は)いいこと。これで何かきっかけを掴んでくれるとね」としつつも、中田に当面の2軍調整を宣告したのだ。
本誌が5月4日、巨人2軍本拠地のジャイアンツ球場に向かうと、若手選手に混じって守備練習、トンボかけをおこなっている中田の姿が。
試合が開始すると、中田はベンチ後列に陣取った。しかし、若手選手同士では近くに座ったり、言葉を交わしたりといった姿が見られる中、中田の隣だけがつねに2席空いている“ぼっち状態”に……。
「彼は意外と人見知りだからね」とは、中田を日ハム時代から見てきたスポーツ紙デスク。彼が続ける。
「“事件”後に移籍した巨人では、年齢の近い坂本勇人らが積極的に声をかけてくれて、チーム内で浮くこともそこまでなかったのですが、2軍になるとそうはいかない。
若手選手が気軽に声をかけられる存在ではありませんし、中田から積極的に声をかける選手もいない。そうなると、2軍での“孤立”は心配ですね。
日ハム時代に“お山の大将”と呼ばれ、チームの中心選手のように思われていましたが、じつは細かいことを気にする小心者な一面があって、寂しがり屋なんですよ。だからこそ、いつも若手や同僚にちょっかいを出していたんです」
そのちょっかいの行き過ぎが「あの悲劇」を生んでしまったことを思うと、中田にとって居心地のよくない2軍生活は早く終わってほしいものだ。
巨人担当記者は「原監督が求めているものと中田の成績に乖離があります」と話す。
「原監督が求めるのは、本塁打数ではなく、コンスタントに打ってくれることなんです。要するに打率。中軸として、単打でもいいからチャンスに打ってほしいのが本心ですよ。
5月5日までに中田はファームで3本塁打を記録していますが、打率は.227。これでは調子がよくなかった昨季、そして今季の序盤戦となんら変わりがない。だからこそ、原監督は『1軍に上げるのは早い』と決断した。5月後半からの交流戦のころにでも1軍復帰してくれれば、と気長に待つようです。
原監督は『パ・リーグの投手を知っている』という部分では、中田には大きな期待を寄せているんです」
冒頭の直撃取材で「自分の野球人生はこれで終わるんだろうなって思ってました」と明かしていた中田。本当の再起のためには、もう一度、1軍に這い上がるしかない。
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