大谷翔平(28)は例年6月は上り調子で、6月17日現在16試合に出場し、打率.433、9本塁打、20打点という成績だ。
13日に始まったア・リーグ西地区の首位レンジャーズとの4連戦でも4本塁打を放ち、投手として6勝めを挙げた16日の試合で決勝弾となった22号の推定飛距離は135メートル。塔のように高いという意味で “タワリング弾” と、現地では絶賛されている。
とくに本塁打のペースは目覚ましく、10号が飛び出したのは5月19日。昨季より11日早い。その要因として挙げられているのがバットだ。昨季より1インチ長い34.5インチ(約87.6センチ)に替えたことで、さらにパワーが出るようになったとみられている。
ところが、この10号の時点で、まだバットを扱いきれていないと感じていた人物がいる。イチローの育ての親で、NHKのメジャーリーグ解説者である新井宏昌氏(71)だ。
「10号までの本塁打は、すべて変化球を打ったものなんです。要は、速いストレートをとらえられていなかった。これはバットを長くした影響だと思っていました。
キャンプや練習で、新しいバットを振り込んでいたとは思いますが、実戦では対応できていなかったということ。バットを長くしたぶん、ボールをとらえたいポイントにヘッドが遅れてくるわけです。
だから、高めのストレートを打ち損じたり、空振りすることが多かったと思います。バットを思うように操れていないので、5月中にも元のバットに戻すのではないかと思っていました」
しかし、大谷は同じバットを振り続けた。その結果、本塁打数で現在トップに並ぶ。
「キャンプから数えれば3カ月以上かかりましたが、ようやく本人の感覚どおりに振れるようになったのでしょう」
実際、11号から、今季メジャートップの22号までの12本のうち、5本がストレートをとらえたものだった。今後、さらに数字を上乗せするためにはどうしたらいいのか。
「今は弱点が見えません。強いて挙げるなら、投手の配球を予測しすぎることでしょうか。レンジャーズ戦で元同僚のヒーニーと対戦し、第2打席で1−1から3球続いたストレートを一度も振らずに三振。変化球を挟んでくると読んだのでしょう。
考えることは大事ですが、考えすぎるとよくない。まずは、対戦投手のいちばん速い球にタイミングを合わせるのがいいと思います。
もうひとつ、彼にはセンター方向へ強く打ち返すことを意識してほしい。そうすれば、内角も外角も無駄のないスイングができると思います。
また、適度に休んだほうがいいといわれますが、体の大きさや鍛え方は普通の日本人とまったく違います。心配は取越し苦労でしょう(笑)」
現在打率は.301で、盗塁も10。「トリプルスリー」も視界に入ってきた。
※成績は日本時間6月17日時点
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