プロ野球交流戦も終盤。6月16日に本拠地・バンテリンドームで、日本ハムを迎え撃った中日ドラゴンズは、またしても好機で点が奪えず、1‐2で敗戦。6月14日のロッテ戦以降、3試合連続で僅差のゲームをものにできず、これで通算成績は23勝37敗。またも借金は14となった。
試合は、中日の先発・小笠原と日ハムの先発・上沢がともに好投。1点を争う投手戦の中、日ハムは1‐1で迎えた4回表2死一、三塁から、一塁走者の上川畑が二盗する素振りを見せて小笠原のけん制を誘い、その間に、三塁走者の万波が本塁を陥れる奇襲に成功。結果的に、この1点が決勝点となる後味の悪い負け方となった。
中日もまったく見せ場がなかったわけではない。7回裏、1死一、二塁のチャンスをつくると、立浪和義監督は積極的に動いた。
7番石橋に代えて、ここ4試合、スタメンを外れていた石川昴弥を代打で送ると、石川が24打席ぶりにヒットで出塁。1死満塁の局面で、8番・龍空に代打・高橋周平を送る。しかし、高橋は空振り三振で2死満塁に。次打者は投手の小笠原。ここで点を取らないともう後がない場面で、立浪監督が送り出した代打は、今季は代走の一番手で起用されている伊藤康祐。いくら不振を極めているとはいえ、ビシエドがベンチに残っている状況で伊藤の代打起用には、「?」となったファンも多いはずだ。結局、伊藤はピッチャーゴロに倒れ、中日は最大の好機を生かせず。今季、何度も繰り返されてきた拙攻に、SNSでは、
《ワンナウト満塁の大チャンスに 代打周平三振、代打伊藤Pゴロで 三者残塁 お家芸発動》
《代打ってチャンスでの切り札じゃないんですかね 自動アウト献上の駒でしたっけ》
などと嘆く声が多くあがった。
さらに、「JSPORTSオンデマンド」でこの試合の解説をつとめた元中日OBの鹿島忠氏は、1死満塁の場面で、膝の状態が不安視される1塁走者の石川昴弥に、すぐに代走を出さなかったベンチワークを問題視。鹿島氏は「ほかのコーチは誰も気づかないんですかね?」などと苦言を呈し続け、鹿島の指摘に少し遅れて代走が出たものの、鹿島はベンチの遅い決断に不満を隠さなかった。
終わってみれば、7回を5安打に抑える力投を見せた小笠原を援護できずに、日ハム・新庄剛志監督の奇策にしてやられた形の中日。また試合中、立浪監督は、目の前にあったゴミ箱を蹴飛ばして怒りをあらわにする様子も。ベンチに残っていた選手3人が、立浪監督のほうを振り返って、目を点にするほどだった。
立浪監督のこの行為には、一部で同情論もあがったが、一方で
《上に立つ人間がこれでええんか?……ファンや選手たちに見えないところでやる分にはええとは思うけど》
《オヤジ代わりの「星野仙一氏」のコピーを気取ってるのか?》
などの声があがった。
またこの日は、中日OBで、1954年の球団初の日本一にも貢献した名投手、杉下茂さんの死去が発表された日。試合前に、両チームから杉下さんへの黙祷が捧げられていたこともあって、ネット上では、
《黙祷した試合でこんなことするのどうなん?》
といった意見も見られた。
たしかに、ここに来て正捕手・木下が骨折で離脱するなど誤算続きの中日なだけに、立浪監督にも大いに同情の余地はある。とはいえ、ファンが見たいのは、監督がゴミ箱を蹴飛ばす姿ではないはずだ。
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