新ドラマの制作にあたり、プロデューサーがもっとも注意するのが人間関係だという。それはすなわち、「誰と誰が共演NGか」ということだ。
役者の“本音”を知らずにキャスティングしたがために、撮影がうまくいかなかったり、ドラマ自体が低視聴率に終わってしまうと元も子もない。
そんななか、現在多くの現場ではプロデューサーらが出演者に対し、共演者の印象について聞き取り調査をおこなっているという。
そこで今回、大手広告代理店が、春クールのドラマが始まった4月から5月にかけ、NHK及び各民放キー局プロデューサーのうち、55人の協力を得て、俳優のイメージ調査を実施した。
質問内容はズバリ、「共演オファーの多い俳優は誰か」。多い順に男女各10人を挙げてもらい、集計結果の上位30人をランキング形式でまとめたデータを本誌が極秘入手した。
また、同時に尋ねた「俳優たちが共演を望む理由」も公開しよう(俳優についての「 」内のコメントは聞き取り調査をしたプロデューサーによるもの)。
女優編に続き、共演オファーの多い男優からご紹介する。
1位は385ポイントを得た山田孝之。Netflixのドラマ『全裸監督』での奔放な演技をはじめ、強烈な存在感が魅力のようだ。
「とにかく山田さんのドラマは注目されるから」
「枠にとらわれずおもしろいことをやってくれそう」
「クリエーターとしてもおもしろい」
若手俳優を中心に、多くの支持を集めている。
「教養が高く芝居もおもしろい」という香川照之は3位。
「怪演ぶりを一目見たい」
「最高の2番手から学びたい」
役者たちの模範的存在となっている一方、AD経験があるため、スタッフからの支持も高いという。
「共演したくない」との声も複数上がるなど、好き嫌いが分かれるのは5位の菅田将暉。
「次はどんな手法でくるのかワクワクする」
「ほかの俳優とはまったく違うアプローチが魅力」
同じく個性派女優の妻・小松菜奈(26)の支えで、新境地を開けるか。
主演を多く務める阿部寛は6位。
「座組の看板だからついていきたい」
「阿部さんのドラマなら、どこでもいいから食い込みたい」
「大きなスケールのドラマが多い」
阿部が出演するドラマはヒット率が高く、共演者にとっては一緒になって名前を売りたいというのが本音だろう。
『鎌倉殿の13人』で主役を務める小栗旬は7位に。
「芝居は普通だけど、正義感溢れる役柄から敵役までこなす器量は見ていて勉強になる」
「まだまだ粗削りだが、伸びしろがあって魅力的」
頼朝から北条時政に政権が引き継がれてからが本番だ。
’21年に主演した映画『ドライブ・マイ・カー』がアカデミー賞の国際長編映画賞を獲得し、脚光を浴びた西島秀俊は10位に。
「注目されている存在だから、共演して有名になりたい」
「芝居に対してとてもストイックなイメージ。一緒に緊張感を味わいたい」
「以前、ジムで一緒になり、トレーニング姿に感銘を受けた」
世界で評価された映画に出演したことで、役者として違うステージに移ったようだ。
最後に、今回の結果について代理店の調査担当者が総括する。
「『選手間投票によるMVP』のいわば役者版がわかったということです。
共演を望むのは、“売れっ子”と組むことで、『自分を引き立ててくれる』ことや、逆に『引っ張ってくれる』ことなどのメリットがあるから。映像制作も、結局は人間同士がやることで好き嫌いに左右されます。それゆえ、円滑に進めるためにこうした資料は今後重宝されるでしょう。
また、テレビに限らずCM撮影やクライアントとの情報共有にも役立ちます。正直なところ、男優で山田孝之さんが1位になったことには驚いたし、毎田暖乃さんが5位というのも調査をして初めてわかったこと。
あとは、バイプレイヤーが多くランクインしているのも頷かされます。やはり、人はそれぞれの役割で望まれているということの証しです。
あと、気遣いができる人が支持されるというのは、どの仕事にも共通することですね」
本誌発の「共演したい俳優」調査は、今後主流になっていくはずだ。
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