3月12日、人気ゲーム実況者の加藤純一が結婚披露宴をおこなった。しかし、ただの結婚披露宴ではない。その様子はYouTubeでライブ配信されており、同時接続数で46万人以上の視聴者が “参列” したという。
「加藤さんは、実況しながらゲームをプレイする『ゲーム実況動画』を2009年から投稿し始めました。ハイテンションな語り口でみるみるうちに視聴者を獲得し、2010年からは『ニコニコ生放送』でもライブ配信を開始しました。
2015年からはそれまで使っていた『うんこちゃん』から本名の加藤純一に名前を変更し、人気配信者として不動の地位を築きました。現在、加藤さんのYouTubeチャンネル登録者は109万人もいます」(芸能ジャーナリスト)
披露宴には、人気ゲーム『桃鉄』でコラボ動画を撮影した陣内智則や、プライベートで親交のある博多華丸、さらにダイアン・津田篤宏、とろサーモン・久保田かずのぶ、コロコロチキチキペッパーズのナダルなど、そうそうたる著名人たちが、ビデオレターで祝福した。
和やかにおこなわれた披露宴だが、話題となったのが「スーパーチャット(投げ銭、以下スパチャ)」の金額だ。スパチャとは、視聴者から配信者に対して贈られる金銭的ギフトのこと。
「加藤さんは、今回の披露宴配信で初めてスパチャを募り、約2時間半の配信で2億1565万8257円を集めました(金額はPLAYBOARDより)。もちろん、この数字は日本一で、時給にしたら8000万円ほどになります。
『2ちゃんねる』創設者のひろゆきさんも、加藤さんにビデオレターを送ったひとりですが、その後、Twitterで《芸能人の結婚式もテレビで流すよりYoutubeで流したほうが儲かるのかもね》とコメントするなど、驚いていました」(前出・芸能ジャーナリスト)
《たった1日で2億って言われるけど、十数年積み重ねてきたからこそだよ。自分も10年近くこの人の配信みてて、楽しませてもらったよ》
《1日でサラリーマンの生涯年収ぐらいお金が集まるのは凄いですね 熱烈なファンが多いってことですね》
《天才だな。人気ある芸人でも絶対にこんなにスパチャ集められない》
ネット配信界に定着しつつある「スパチャ」について、ITジャーナリストの三上洋氏が、次のように説明する。
「YouTubeのスパチャは、上限5万円で、リスナーが直接、配信者にお金を贈ることができる仕組みです。
たとえば、500円スパチャすると、リスナーが登録しているクレジットカードから500円が引き落とされる。送信ボタンを押すと、コメント欄に『500円』というステッカーのようなものが表示されます。これにより、配信者は、誰が500円を投げたのかわかるのです。
ちなみに、YouTube以外の配信サイトでは、ほとんどが『アイテム購入』という形になっています。『ニコニコ生放送』も『ふわっち』も『17LIVE』も、購入したアイテムを配信者に投げるやり方です。
これは、資金決済法の縛りによるもの。お金をAさんからBさんに送る場合、銀行のように一時お金をプールしなければならないので、仲介業者に厳しいチェックと要件が求められるからです」
気になるのが、配信者への還元率だ。
「YouTubeライブについては、6割から7割程度が配信者に還元されます。しかし、リスナー側がスマホから投げたのか、それともパソコンから投げたのかによって、還元率は変化します。
スマホ経由で投げると、App StoreもしくはGoogle Play ストアへの手数料が発生し、配信者側に入る金額は少なくなります。そういう意味で、パソコンの方が配信者に入る金額は多くなります」
三上氏は、スパチャで利益をあげる配信者について、こう分析する。
「いろんな企画をする配信者ですね。雑談したり、ゲーム配信したり、外でなにかイベントしたりする配信者にはファンが多くつくので、自然とスパチャが多くなる。
それから、スパチャランキングで上位を占めるのは『Vtuber』です。Vtuberとは、バーチャルユーチューバーのこと。世界のスパチャランキングも、ほとんど日本のVtuberが占めちゃうんです。
Vtuberも『にじさんじ』とか『ホロライブ』など超大手の事務所があり、そこに属するVtuberたちに大きな収入が生まれている状況です」
三上氏は、今回の加藤の披露宴配信が、日本に投げ銭文化を定着させるきっかけになるという。
「スパチャって日本にはなかった文化なので、浸透するまでに時間がかかりました。いまでも『お金のやり取りなんでしょ?』『キャバクラなんでしょ?』という誤解が一般の方にあるかもしれません。
でも、今回の加藤さんの一件で、日本にも “投げ銭文化” が定着しそうです。当日はヒカキンさんをはじめ、超有名人たちがガンガン5万円を投げている状況でした。それを見て、これは俺も参加しなきゃ、と思った人も多いはずです」
配信界はいま、空前のバブルなのかもしれない。
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