「遺骨のある部屋に入って、いちばん目を見張ったのが、天皇皇后両陛下からの紅白の立派な落雁でした」と、話すのは安倍晋三元首相(享年67)の後援会関係者だ。
「元総理大臣にしては、控えめな祭壇だと思いました。位牌や遺影の周りには胡蝶蘭などの供花が置かれ、仏前には落雁や果物が供えられていましたが、それらはすべて天皇皇后両陛下、上皇上皇后両陛下、秋篠宮殿下から下賜されたものでした。
「葬儀などへの謝意とともに、夫の死去で空席となった衆議院山口4区の補欠選挙について、昭恵夫人は『私は選挙には出ません』と派閥幹部らに不出馬を表明しました。『弔問のお礼を個別に伝えるより、一度の機会でまとめて伝えてしまいたい』という思いが夫人にあったそうで、安倍政権で“官邸官僚”と呼ばれたうちの一人、今井尚哉氏が総会への出席を助言したといわれています。こうした思いに、夫人との“距離感”を感じる自民党関係者もいました」
「死去の直後から、内閣や自民党幹部がすぐさま『安倍元首相を国葬に』と口にし始めましたが、その際に昭恵夫人の意志を確認していなかったようです。『妻である私に聞く前に勝手に国葬と言いだすなんて』という思いがあるのでしょう。実際に安倍家側からは国葬辞退の意向も出ているそうです」(永田町関係者)
「昭恵夫人一人が主導して辞退しようとしているわけではなく、国葬には“安倍家”自体が難色を示しているのです。このままの形で実施されたとしても、式典で脚光を浴びるのが、安倍元首相と敵対していた岸田首相や、地元・山口でのライバルである林芳正外相になるのでは……という危惧があるんです。『そんな形で“非業の死”を利用されるくらいなら』ということですよ」
「昭恵夫人が住む渋谷区のマンションは、安倍元首相の母・洋子さんと長兄・寛信氏が共有する物件で、安倍元首相には所有権はありませんでした。洋子さんとしては、元首相の地盤を継ぐ“安倍家の後継者”を出したいにもかかわらず、当の昭恵夫人には補選への出馬意志がない。これまでに幾度か洋子さんから元首相夫妻に“養子”の提案があったようですが、それも実現してこなかった。