「頂き女子りりちゃん」を名乗って恋愛詐欺マニュアルを販売、自身も男性3人から1億5000万円を騙し取ったとして詐欺などの罪に問われた無職の渡邊真衣被告に対し、名古屋地裁は4月22日、懲役9年、罰金800万円の判決を言い渡した。
「弁護側は公判で、『ホストらに利用されたにすぎず、被害者的な面もある』と寛大な処分を求めていました。悪質ホスト被害を念頭に入れた主張ですが、『身勝手で、汲むべき余地はない』として、渡邊被告の責任だと認定しています。罰金を支払えない場合、1日1万円の労務になるので、9年間服役してもさらに、2年程度は労役場留置になります」(記者)
裁判長から述べたいことを尋ねられた渡邊被告は「ありません」と答え、判決を言い渡されると過呼吸の状態に陥った。裁判長は被告を着席させ、裁判は3分程度中断した。
グリ下(大阪・道頓堀グリコサイン下)やトー横(東京・新宿東宝ビル周辺)にたむろする青少年犯罪に詳しく、判決後に渡邊被告と接見した田村健一弁護士が、今回の判決についてこう解説する。
「判決文では、渡邊被告が販売したマニュアルについて、主体的に犯罪を助長したと指弾していて、今回の量刑には渡邊被告が実際におこなった詐欺や脱税だけでなく、マニュアルの社会的影響の大きさに鑑み、詐欺ほう助にあたるとも認定しています。
一方、家庭環境を理由に渡邊被告が家出を繰り返したりホストにハマったりしていたことについて、情状面はまったく汲み取られていません。検察側が求刑したのは懲役12年、罰金1200万円なので、刑期も罰金も減らされており、一見、温情ある判決にも思えますが、そもそも求刑が厳しすぎました。結果的に判決も厳しくなったのだと思います」
渡邉被告は逮捕前、自身のSNSで「頂き女子」引退宣言をしていた。理由は逮捕されたホストとのトラブル。暴力事件として警察沙汰になったこともあり、捜査が始まる前にホストから離れる決意をしていたのだという。
本誌は、渡邉被告ともっとも親しかった友人とのやり取りのLINEメッセージを入手した。そこでは、ホストについて、「●●くん半グレぽいからまい歌舞伎で会った時こわいんだよな」「あのひと執念やばい」「普通にこわいー」などと綴られていた。何人ものホストに入れあげていた渡邉被告の “悲鳴” が聞こえてくるようだ。
この友人が本誌の取材にこう答えた。
「任意の事情聴取を受けたときから、『怖い、(自分は)どうなっちゃうんだろう』と、泣きながら電話をしてくることがありました。
りりは裁判でも『ホストだけは笑わせてくれた。人生が救われた気がした』などと証言するほど、ホストにハマっていました。ホストに貢ぐ必要がなければ、『頂き女子』をしなくてもよかったのです。
できればライターのような仕事がしたいと言っていました。実際、いくつか仕事をしていて、WEB漫画の原案の仕事も始めていたんです」
渡邉被告は控訴する意向という。田村弁護士が控訴審についてこう語る。
「刑期を終えた後に、支えになる人間や組織の存在のあるなしが、控訴審で刑期を短縮できるカギになると思います。また、手記などを出版して、印税を被害者の補償にあてたいとも話していました。すでに、いくつかの依頼もあるようです」
控訴審が開かれれば、どのような量刑となるのだろうか。
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