「もっともっと気を引き締めて、頑張らないといけないなと、あらためて思いました」
12月2日、東京・大手町の球団事務所で契約交渉に臨んだ、読売ジャイアンツの中田翔(33)は、報道陣に対して、このように語っていた。
更改の結果は、今季年俸1億5000万円(金額はいずれも推定)から倍増の年俸3億円の3年契約、総額9億円の大型契約だ。
冒頭の言葉は、36歳を迎えるシーズンまでの複数年契約に、いっそう気を引き締めたことで出たのかもしれない。
2021年シーズン途中に暴力不祥事で謹慎していた中田は、日本ハムから無償トレードで移籍した。
その中田は、今季109試合に出場して、24本塁打を放った。シーズン後半には、岡本和真に代わって4番に座ることもあり、その活躍が評価された形だ。
打撃だけでなく、“先輩”としてもチームを引っ張っていく姿勢を見せている。契約更改の場ではオフに沖縄・石垣島で秋広優人らと合同自主トレをおこなうことを明かし、秋広についてこう話していた。
「持ってるポテンシャルは、誰がどう見ても素晴らしいものを持ってるが、あれだけ身長があるのに体は細すぎるので、ウエイトの面で協力してあげたい」
こう語る背景には、2022年1月にも、同様のメンバーで石垣島自主トレをおこなっていたことがある。本誌はその様子を目撃。
練習後、グラウンドから出て来た中田を直撃すると、重たい口を開いて、暴力事件以降、初めてマスコミに心境を明かしたのだった。
謹慎で試合出場停止になっていた期間について「外に出られる状況でもなかったから、家でずっと過ごしてましたね。そのときは、『自分の野球人生はこれで終わるんだろうな』って思ってました」と明かした。
そんな中、日本ハムの栗山英樹監督(当時)と直接電話で話し、「『しっかり反省しような』っていうことと、『でもな、やっぱりまだ(野球を)あきらめたらだめだぞ』という言葉をもらって、一からやるしかないなと腹が決まった」という。
そして、来シーズンへの思いを尋ねると、目に力をこめてこう切り出したのだった。
「今は自信しかない。まずは巨人の選手として、そして自分らしくやらないといけない、と思っています。去年は三振しても、『くっそー、次の打席は見とけよ!』っていう闘志がないなって、自分でも思ってた。『ハイハイ、こんなもんか』みたいな、あきらめの感じですね。
今年は、もちろん球団のルールはきちんと守ったうえで、俺らしく、そして荒々しくやりたいなって思ってます。いままでどおりのスイングを取り戻したいんで……」
この言葉どおり、自身のバットで中田は結果を出し、年俸3億円という大型契約を勝ち取ったわけだ。
本誌の直撃取材の最後に中田は、こう言い残していた。
「まあ昔から『アンチ中田』はたくさんおったから(笑)、そこはもう慣れっこなんだよ」
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