2023年3月のWBC決勝戦。超一流のメジャーリーガーがそろう米国代表との試合前、大谷翔平はロッカールームでチームメイトにこう呼びかけた。
「あこがれるのをやめましょう!」
そして日本は世界一に――。
とはいえ、野球でもなんでも、始まりは「あこがれ」だったりするもの。ということで、今回、紹介するのは「俳優があこがれる俳優」ランキングだ。
「NHKや民放のプロデューサーに協力してもらい、ドラマに出演して、エンドロールのクレジットに名前が出ている俳優さんに聞き取り調査をおこないました」(大手広告代理店社員)
さっそく、本誌が入手した男性俳優のアンケート結果を見てみよう。
1位は真田広之。子役としてデビュー、若手時代は千葉真一主宰のJACに所属し、アクション俳優として活躍。2000年ごろから、拠点をロサンゼルスに移している。あこがれる理由は「殺陣などアクションが素晴らしいだけでなく、演技に対する真摯な姿に共感する」(30代。回答した俳優の年齢、以下同)。「失礼ながら小柄だが、それでも確固たる存在感を築いている」(40代)。
2位は舘ひろし。バイクチーム「クールス」から芸能界入り。『西部警察』(テレビ朝日系)出演を機に、石原プロに入社した。『あぶない刑事』(日本テレビ系)シリーズも大ヒットした。歌手としての代表曲は『泣かないで』。「イケオジを絵に描いたような存在。ああいう年の取り方をしたい」(30代)。「俳優は女性にモテるという、夢を与えてくれる方です」(20代)。
3位は草刈正雄。モデルとしてデビューし、二枚目俳優の代名詞的存在に。NHK大河『真田丸』の名演も印象深い。「年齢を重ねて、最近はコミカルな演技で新境地を開いている」(40代)。「黙っていても画になる」(30代)。
4位は阿部寛。「MEN’S NON-NO」のカリスマモデルから俳優に。『TRICK』(テレビ朝日系)の三枚目役でブレイク。2023年のNHK大河『どうする家康』で演じた武田信玄も話題に。「演技力も背の高さも圧倒的な存在感」(30代)。「TBSの日曜劇場やNHKの大河など、いまや重厚なドラマには欠かせない俳優」(20代)。
イケメンが続いてきたが、5位にはムロツヨシ。現在、大河で豊臣(羽柴)秀吉を熱演中。「我を捨てて、役になり切れる俳優」(30代)。「主役もできるし、端役でも光る稀有な存在」(10代)。
6位は福山雅治。「俳優としても歌手としても非の打ちどころがないが、それでいて下ネタ好きなエロおやじなところが好感」(40代)。
7位は、こちらも大河に出演中の松重豊。「年齢を重ねてようやく売れた希望の星。自分もいつかと思わせてくれる」(40代)。「バイプレイヤーでも地道に努力を続ければ報われると思わせてくれる人です」(30代)。
8位は織田裕二。「ばりばり主役をやっていたころにあこがれてこの世界に入ったが、最近は脇役でも新境地を見いだそうとしている姿に注目している」(30代)。
9位は濱田岳。「どんな役柄でも爪痕を残す演技にあこがれている」(10代)。
話題のドラマ『VIVANT』(TBS系)に出演中の堺雅人は10位。「共演したとき、ほかの役者のセリフまで覚えていて驚いた」(30代)。
今回の調査に協力した民放のプロデューサーが総括する。
「この結果は、ふたつの『あこがれ』に分けられますね。まずは、誰もが認める主役級の本格派俳優。そしてもうひとつは、ムロツヨシや松重豊に代表されるバイプレイヤー。これだけ多くの役者がバイプレイヤーにあこがれているのは、少し意外でした。たしかにここ最近、脇役クラスにスポットライトが当たることが多くなっていますし、今後の役者の処世術として、脇役でも自分の個性に賭けたいと考える人が多いということでしょう」
視聴者人気とは違う、同業者があこがれる俳優こそが、まさに“プロフェッショナル”といえるのだ。
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