9月18日、フランスで、トランスジェンダーの同級生をいじめたとされる14歳の少年が授業中に逮捕された。マクロン政権の報道官は「いじめの加害者に強いメッセージを送るためだ」としているが、異例の措置に、生徒や保護者からは怒りの声があがっている。AFP通信が報じた。
逮捕された少年はパリ郊外の中学校に通う生徒。逮捕を目撃した同級生によると、校長が教室まで来てドアをノックし、「逮捕される」と教員や生徒らに伝えた。その後、警官が入ってきて少年の腕を押さえ、手錠をかけたという。
政府の報道官は、逮捕について「政府のいじめ対策に従ったものだ」と主張。いじめをおこなっている生徒たちに「非常に強いメッセージを送ることが目的だ」とし、「まん延するいじめを撲滅する手段であり、子供たちを守る手段でもある」と語ったと報じられている。
だが、生徒が逮捕された学校では、多くの保護者や生徒がショックを受け、「なぜ放課後に逮捕できなかったのか」と疑問視する声もあがっているという。
「フランスでは、2022年3月に刑法が改正されて、学校でのいじめが犯罪になりました。
・被害者が8日以内の通学不能となった場合、3年以下の懲役、4万5000ユーロ(約700万円)の罰金
・被害者が8日を超える通学不能となった場合、5年以下の懲役、7万5000ユーロ(約1180万円)の罰金
・被害者が自殺または自殺未遂をした場合、10年以下の懲役、15万ユーロ(約2360万円)の罰金
が科されます。フランスでは刑事責任を問われる年齢が13歳以上。日本でいえば、中学生以上が該当することになります。
9月に新学年が始まったフランスでは、学校内でのいじめが確定した場合、学校長とその自治体のトップによって、加害者の生徒を別の学校へ転校させることが可能になりました。
いじめが深刻化し、生徒の自殺が繰り返されたことから、いじめをおこなう生徒に対し、加害者であることを認識させるために厳罰化しているわけです」(週刊誌記者)
日本では、2021年3月、北海道旭川市で、いじめを受けていた14歳の女子中学生の凍死体が見つかった事件で、教頭が「加害者にも未来がある」と発言したことが報道され、波紋を呼んだ。
フランスで、少年が授業中に逮捕されたことに対し、日本のSNSでは賛同する声が圧倒的だった。
《授業中に逮捕するのは日本だと考えられない措置ですが、いじめをしっかり犯罪として扱うという点では見習うべきだと思います。『加害者にも未来がある』との論理で被害者が蔑ろにされるのは理不尽です》
《いじめをすればこうなるという見せしめは大事だと思うな。というかいじめは犯罪だからね。恐喝、傷害、強要、名誉棄損、その他諸々に該当するからね》
《日本でもこれくらいやっていいと思う。被害者が泣き寝入りとか、人生狂わされるとか、おかしい。イジメは立派な犯罪》
日本でも、いじめ加害者への厳罰化の流れはやってくるだろうか。
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