4月17日午前8時ごろ、東京・渋谷区で軽自動車1台が燃える事故があった。運転手は「エアコンの警告ランプがついて、火が出た」と警察に証言しているという。東京消防庁がポンプ車など3台で消火活動にあたり、およそ15分後に鎮火。
この事故によるケガ人などがいなかったことは幸いだが、このところ、車両の単独火災事故のニュースをよく目にする。2022年の消防白書によれば、2021年中に3512件の車両火災が発生。71人が亡くなっている。
火災の原因について、自動車評論家の菰田潔氏は「多岐にわたり、特定するのは難しい」としたうえで「電気配線をオリジナルから変えたクルマは、火災発生率が高いと思います」と指摘する。
「オーディオなどの配線も、いい加減にやると1年後くらいに出火するケースもあるようです。エンジン関係では、後づけターボとか後づけオイルクーラーなどの取りつけ不良か、ゆるみが原因でオイル漏れを起こし、エキゾースト(排気)にかかって出火、というケースもあります。新車のままで乗っていて、車両火災になるケースは、私の知る限りはとても少ないと思います」(菰田氏)
日本自動車工業会のホームページには、いくつかの車両火災につながる要因が紹介されている。たとえば――。
「浸水、冠水被害を受けたクルマは火災を起こす恐れがあります。エンジンは絶対にかけないでください」
「潤滑不良でエンジン破損を招き、車両火災が発生することもあります」
「エンジンをかけたままで車中仮眠しないでください。睡眠中に誤ってアクセルを踏み込み、エンジンが高回転を続けて異常に加熱し車両火災を引き起こすことがあります」
やはり車両火災には、さまざまな原因があるようだ。
日本自動車連盟(JAF)は、ほかに「エンジンルーム内への清掃用の布などの置き忘れ、バッテリーのターミナルが緩むことで発生するショート」「車内に放置したライターやスプレー缶などによる火災」についても警告している。意外な原因としては、「フロントウインドウにアクセサリーなどをつるす透明の吸盤」というものもある。凸レンズ効果により太陽光が集光され、部分的に高温になる場所を作り出すことがあるそうだ。一般的には、使用年数が経っている車両に火災が多いとされている。
「電気系統のワイヤーハーネスの被覆が劣化し、内部の銅線が剥き出しになり、熱を持ったことで火災につながるケースもあります。また、古い車のシートや内装は難燃性の素材ではないことが多く、火の回りは速くなります」(自動車整備士)
万が一、火災が発生した場合は速やかに避難し、119番通報することが大切だが、同時にJAFでは「一度外に避難したら再び車に戻らないでください」とも呼びかけている。火の出た車には、とにかく近づいてはいけないということだ。
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