「彼女の姿に気がついて、チラチラ見ている人もいました。車の運転はもうやめたんですね」(通行人)
スマホをにらみながら、右に行っては左に戻り、階段を昇っては降り……。12月16日、木下富美子元都議(55)は、慣れない電車移動のせいか、新宿駅で迷子になっていた。
「議員として十分に仕事をさせてもらえない、理不尽な現実に悩んだ」
2021年7月に無免許運転で当て逃げ事故を起こした木下氏は、2度の辞職勧告決議を受けても「続けてほしいとの声もある」と頑なに辞任を拒否し続けた。
11月22日、ついに辞表を提出し、謝罪会見をおこなったものの、「議会にいじめられた」といわんばかりの、被害者意識丸出しの答弁を披露。都政に後足で砂をかけ去ったーー。
あれから1カ月。木下氏は、人生という迷路でも迷子になっているのかもしれない。
彼女の自宅がある、豊島区の近隣住民が語る。
「木下さんは帰宅する際、わざと家の前を素通りするんです。その後誰も見ていないことを確認してからこっそり自宅に入る。しかも、帰宅後に家の明かりがついている様子がなく、電気メーターがまわる速度があまりに遅いんです」
彼女の “被害者意識” からすれば、居場所を悟られないための当然の自衛行為。しかし、真っ暗闇の家のなかでいったい何をしているのか。
その謎は、12月15日の朝、ゴミ出しに出た木下氏自身が教えてくれた。少しやつれた様子で自宅の扉を重そうに開けた木下氏。両手に抱えた袋には、あふれんばかりの酒瓶と空き缶がつまっていた。そのほとんどが、日本酒やレモンサワー、ハイボールといった酒類だったのだ。
暖房すらつけない極寒の暗闇で、毛布にくるまりひたすら酒をあおっているのか。頭に浮かぶのは栄光の議員時代か、衝突事故の瞬間かーー。
しかし意外なことに地元では、酒浸りの彼女を応援する声が上がっている。「(事件のことは)もういいでしょ!」「彼女の支援者はまだいる。頑張ってほしい」など、多くの近隣住民が好意的なのだ。
はたして本人に復活の意志はあるのか。本誌は自宅を出た木下氏に声をかけたが、記者の姿を確認するやいなやダッシュで自宅に戻り、扉をバタンと閉めてしまった。
「事件が発覚した直後に辞任しておけば、再出馬の可能性もあったはず。しかし今となっては、再当選の可能性は限りなく低い」と語るのは、政治評論家の有馬晴海氏だ。
「木下氏は、辞任直前に小池百合子都知事と会談し、『反省して再出発するときは相談に乗る』と言われ、覚悟を決めたと明かしました。つまり、今回の騒動の幕引きをしたのは小池都知事というかたちです。
“女帝” としての権勢を示すことができた小池氏にとっては、一連の事件はプラスでした。恩返しに、小池都知事が本気で再出馬を応援してくれるという、わずかな可能性にかけるしかありませんが……」
酒瓶を置いて、小池詣でを始めてはいかが。
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