「殴る蹴るは当たり前。罵声を浴びせながら傘で私のことを突いたり、“お仕置き” と称して輪ゴムで自作したクリップで腕を挟まれたりして……つらかったです」
憔悴した様子でそう語るのは、伊沢純容疑者(51)の元交際相手・Aさん(20代)だ。
3月28日、新宿・歌舞伎町にある精神科「東京クリニック」の院長・伊沢容疑者は、Aさんへの傷害容疑で逮捕された。
さらに、7日に家宅捜査を受けた際、覚醒剤0.28gが見つかり、覚醒剤取締法違反容疑でも逮捕されている。
伊沢容疑者は、警察の調べに対して「女性の妄想だ」と容疑を否認している。だが被害を受けたAさんの体には、おびただしい数の傷痕が残っている。
「もともと患者だった私が伊沢と交際を始めたのは、昨年の4月1日です。診療時間外に診察してくれた際、食事に誘われたのがきっかけでした。
10月に同棲を始めると伊沢の態度が豹変し、DVを受けるようになったんです。統合失調症の治療に用いられる『エビリファイ』など複数の薬を大量に飲むよう指示され、半ば洗脳された状態でした」
2月の下旬、Aさんはある “仕打ち” で目が覚めたという。
「路上なのに、下着姿で伊沢の車の近くに落ちているゴミを拾うように命じられたんです。
私が言われるがまま脱いだら、人目を気にして本人はその場から逃げました。私はパニックになり、その場で叫びながらリストカットしてしまいました。
病院に搬送され、腕を縫い合わせてもらったのですが、翌日口論になった際、激高した伊沢に縫ったばかりの傷を引き裂かれたんです。
神経も切れてしまい、左手首から先の感覚がありません。これでやっと目が覚め、警察に被害届を提出しました」
じつはこの伊沢容疑者、一部の “薬好き” の間では名の知れた人物だった。
「依存性の高い向精神薬『リタリン』を過剰に処方したことで2007年に東京都の立ち入り検査を受けています。
結局、診察なしに処方したとして、罰金刑となりました。向精神薬への知見は非常に高かったのですが……」(医療関係者)
元患者の男性もこう話す。
「メモ帳に欲しい薬を書いて持っていくと、欲しい分だけの薬を処方してくれました。診察時間は1分未満。病院というより薬局ですよ」
だが、Aさんへの仕打ちからもわかるとおり、伊沢容疑者の “異常性” は過剰処方どころではない。薬を餌に “ぴえん系” と呼ばれる精神的に不安定な女性を食い物にしてきたのだ。別の女性患者が語る。
「3回ほど通院したころ『薬をたくさん処方してあげるから触ってくれ』と診察室で突然、性器を見せられました。
危険を感じてすぐに帰りましたが、別の日には『触ってくれれば痩せる薬をあげるよ』とも言われ、さすがに気持ち悪いので病院を変えました」
さらに保険証を悪用されたという女性患者・Bさんもいる。
「2020年11月、不眠を改善したくて訪ねました。『きれいな小麦肌だね』と言われ太ももを触られました。そして初診では7種類の薬を毎日19錠飲むように指示されました。
しかも初診の翌日、伊沢は私の保険証の住所を見て自宅に来ると『中に入れてほしい』と言ってきました。
断わったら、ポストに毎日大量の薬を入れられるようになったんです。結局、1週間で500錠渡されました。
メンヘラだった私は、5日間で300錠服用してしまいました。今でも薬の後遺症に苦しめられており、被害届を提出するつもりです」
伊沢容疑者の行為について、医師法に詳しい上田正和弁護士はこう断罪する。
「傷害罪と薬物所持で刑事処分を受けると、過去の例に照らすと業務停止2年から3年の処分が予想されます。よほど重い事件を起こさない限り、医師免許は剥奪されにくいんです。
伊沢容疑者のように、患者さんの『治療したい』という気持ちを逆手に取った行為は言語道断。国としても、処分を受けたことのある医師の情報をもっと積極的に開示するべきですし、医師の再教育が大切です」
前出のAさんは、伊沢容疑者本人が “壊れていた” と話す。
「つねに大量の薬を飲んでいました。謎の粉末を『お前が持っておけ』と渡されたこともあります。
自宅はガムテープで目張りがされ『俺は監視されている』と日常的に話すなど不審な様子でした。なぜそんな状態で医師を続けていたのか……。到底、許せません」
“歌舞伎町の薬屋” が抱える闇は深い。
外部リンク