いよいよ秋本番! 今もさまざまなニュースが世間を騒がせ続けている。そんななか、多くのスクープを報じてきた本誌記事のなかから、特に反響の大きかったニュースのその後を大追跡!
《この世から抹殺されるかもしれんけど、これが舞妓の実態》
6月26日、お座敷の写真とともに投稿されたツイートは、またたく間に13万以上のリツイートがあり(当時)、30万以上の「いいね」がついた。
《当時16 歳で浴びるほどのお酒を飲ませられ、お客さんとお風呂入りという名の混浴を強いられた(全力で逃げたけど)。これが本当に伝統文化なのか今一度かんがえていただきたい》
投稿者は京都・先斗町の舞妓だった桐貴清羽さん。2015年2月に屋形(置屋)に入った桐貴さんが、舞妓時代の名前を市駒と明かしたうえで、メディア初となる本誌の取材に答えたのは、初投稿から2週間後のことだった。
「投稿してすぐにSNSで反響がありました。もともと使っていたアカウントだったので、舞妓時代の友人や知人からも連絡が来ました。
なかには舞妓時代にいろいろな悩みを相談していて、そのときは『わかるよ』と言ってくださった方から、今回は『嘘を広めないでほしい』とか『個人の問題では』とか、はては『金銭目的?』といった書き込みもありました。本当に怖かったです」
桐貴さんが初投稿した2日後、会見で後藤茂之厚労大臣(当時)が、投稿内容をめぐって「芸妓や舞妓の方々が適切な環境のもとで、ご活動いただくことが重要」との見解を示すなど、世間の反応は大きかった。だが、桐貴さんの訴えは、当初、京都の花街には届かなかったようだ。
桐貴さんとは別の花街の関係者が当時、本誌の取材にこう話している。
「投稿の翌日には各花街のお茶屋組合から、舞妓の飲酒はお茶屋内だけに限定するようにという “お知らせ” が配られたそうです。また、お茶屋さんから舞妓さんを管理している置屋さんに向け、個別取材には応じないように申し渡しもありました。
置屋の中には、当分のあいだ、舞妓を外出禁止にしたところもあったそうです。その際、『市駒が変なことを言っているから』だと申し送りをしています。つまり、市駒は反逆者なのだと印象づけをしたのです」
しかし、未成年者である舞妓たちの実態が、桐貴さんを通じて明らかになるにつれ、花街にも変化の兆しが見えたという。
「すでに花街の一つが、舞妓の飲酒を完全に止めています。また、同じ花街ですが、舞妓は22時までに置屋に帰るように徹底しているようです。
そもそも、舞妓とは芸妓を目指して修業する15歳から20歳までの女性のことをいいますから、仕込み(見習い)に入る娘が5年間いなければゼロになってしまいます。他の花街も後に続かざるを得ないでしょう」(前出・花街関係者)。
桐貴さんが、こう話す。
「舞妓の実態について、みなさんが真剣に捉えていただけたことは嬉しかったです。花街で、舞妓が大っぴらに飲酒をすすめられることは少なくなったと聞いています。
でも、長く続いた慣習はなかなか改善されません。口の堅い常連さんには、今までと同じ接待があるとも聞いています。根本的な解決が必要です」
伝統として続けられた悪習が、完全に過去のものになるにはもう少し時間がかかりそうだ。
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